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製造業のコスト削減に効果大! それでも「開発購買」はなぜ根付かないのか今だからこそ知りたい製造業の開発購買【前編】(1/3 ページ)

製造業が直面するコスト上昇圧力が大きく高まる中、コスト適正化の一手として、設計/開発の上流段階からコストに介入する「開発購買」という手法が、再び脚光を浴びている。本連載では、開発購買の考え方や課題に加え、従来になかった新しい開発購買のポイントを解説する。

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 2020年代に入り、地政学リスクなどに起因する調達難の顕在化や原材料コストの高騰、取適法施行による人件費高騰、サプライチェーンサステナビリティの重視など、企業の調達環境にはかつてないほど逆風が吹いている。原材料や部品の調達コストが急騰し、製造業が直面するコスト上昇圧力が大きく高まる中、設計/開発の上流段階からコスト適正化に介入する「開発購買」という手法が、再び脚光を浴びている。

 本連載では、開発購買の考え方や課題に加え、従来になかった新しい開発購買のポイントを前後編に分けて解説する。

開発購買とは何か

 「開発購買」という言葉が製造業で広く使われるようになったのは、2002年頃のことである。それ以前から自動車業界などでは「原価企画」という名称で類似の活動が行われていた。当時の日本経済新聞社が「日経 調達戦略フォーラム」を実施し、開発購買という言葉を業界横断的なキーワードとして定着させたことがきっかけとなっている。

 開発購買を一言で定義するなら、「新製品/新サービスの研究/企画/開発の上流段階から、コスト/品質/納期/サプライヤーなどの情報を考慮しながら業務を進めることで、QCD(品質、コスト、納期)の最適化を図る取り組み」である。

 なぜ上流段階であることが重要なのか。その理由は、製品コストの構造にある。一般的に、製品コストの80%は企画/設計の上流工程で決定されるといわれている。

 実際に筆者があるプロジェクトで検証した結果、コスト全体の約50%が製品の企画/設計段階より上流である、要素技術開発の段階で、約30%がモジュール企画/設計の段階で決まることが判明した。そして、残りの約20%が製品開発以降のプロセスで決定している。つまり、製品開発段階でいくら価格交渉をしても、動かせるコストはわずか20%以下しかないということになる(図1)。

図1:製品コストの構造
図1:製品コストの構造[クリックして拡大] 出所:フォーティエンスコンサルティング

 このように、「コスト削減を進めるためには、開発以前の上流段階に入り込む」必要があり、開発購買とはそこに購買部門が踏み込んでいく活動にほかならない。

開発購買の手法と効果

 開発購買の手法は大きく分けて、「新技術/新規サプライヤーの開拓」と「仕様変更、VE(Value Engineering)/VA(Value Analysis)活動による設計見直し」の2つとなる。

 新技術/新規サプライヤーの開拓は、グローバル視点で優れた新技術を持つサプライヤーや、既存サプライヤーの新技術の探索、提案、採用を行うことで、QCDの最適化を図ることだ。一方、仕様変更、VE/VA活動による設計見直しは、自社でのティアダウン活動などを通じたQCD最適化だけでなく、サプライヤーを巻き込んだ推奨品や標準品の採用、VE/VA提案の採用によるQCD最適化も対象となる(図2)。

図2:開発購買の手法
図2:開発購買の手法[クリックして拡大] 出所:フォーティエンスコンサルティング

 開発購買は実際に取り組んでみると大きな効果を上げることができる。日経 調達戦略フォーラムの資料などによると、大手精密機械メーカーは部品データベースを活用し、推奨品/認定品の採用を促すことで、約4割のコスト削減を実現している。

 また、大手自動車メーカーは大部屋方式によるコンカレント開発推進により、開発期間を3分の1に短縮した。大手電機メーカーは開発購買部隊を設置し、設計に対する核心をつく提案力を強化し、約10%のさらなるコスト削減を実現している。

 このように、いずれの企業もダブルデジットの大きな効果を出している。一方で、開発購買は部門横断的な活動であるため成果が見えにくく、効果が実感できずに取り組みが進んでいない企業も多い。では、なぜこれほど効果が明らかなのに、多くの企業で開発購買が根付かないのだろうか。

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