締結されたボルトの許容繰り返し荷重、2本なら単純に2倍でよいのか?:冴えない機械の救いかた(8)(3/4 ページ)
本連載「冴えない機械の救いかた」では、メカ設計の失敗事例を題材に、CAE解析や計測技術を用いて、不具合の発生メカニズムとその対策を解説していく。第8回は、規定トルクで締め付けられたボルト1本構成の許容繰り返し荷重と、ボルト2本構成の場合の考え方を取り上げる。
被締結体の厚さが40[mm]の場合として内力係数Φを求めたところ、0.152[-]となりました。前回の表1で、ボルトを締め付けていない場合にボルトに発生する応力振幅を求めており、その値は84[MPa]でした。このときのボルトの疲労限度は、前回の表2に示した114[MPa]です。
ボルトを締め付けた場合の応力振幅は以下となります。応力振幅が「ドカーン」と下がりました。
ボルトを締め付けない場合と締め付けた場合で、ボルトの疲労限度が変わるので、両者を比較したものを表4に示します。設計マージンは1.356[-]から5.085[-]に上昇しました。ボルトをしっかり締結すると“お得感”がありますね。
ボルトを締め付けた場合で、マージン(安全率)がちょうど2[-]になる繰り返し荷重を求めましょう。表5に計算結果を示します。繰り返し荷重は2万5423[N]となり、前々回の表1(2)の値です。
内力係数Φ シミュレーションで求めた場合
ボルトの初期締結力をシミュレーションモデルに反映させ、被締結体に荷重を加えて、有限要素法でボルトに発生する応力振幅を求めました。詳しくは以前のシリーズで述べています。
図9に、シミュレーションで内力係数を求める解析モデルを示します。L寸法をいろいろ変えて計算しました。図10に、シミュレーションで内力係数を求めた解析例を示します。
表6に、シミュレーションで求めた内力係数を示します。L=0[mm]の場合(このような荷重はあり得ませんが)、内力係数は0.130[-]となり、式11による結果と近くなりました。しかし、それ以外では内力係数が小さくなっています。
ボルトを締め付けた場合で、マージン(安全率)がちょうど2[-]になる繰り返し荷重を有限要素法で求めましょう。表7に計算結果を示します。繰り返し荷重は5万3679[N]となり、前々回の表1(3)の値です。
実際の内力係数が式11より小さくなることは、ボルトの研究で有名なユンカー氏も気付いていて、経験的な数値を使っていたそうです。また、このことは理論的に解明されています(参考文献[1])。
今度は「ドカーン」ではなくて「ドッカ―ン」と応力振幅が下がりましたね。応力振幅が文献に記載されている内力係数より小さくなることは、筆者は「CAE設計演習問題集」を作ったときに気付きました。
参考文献:
- [1]吉本 他|ねじ締結体の内力係数|日本機械学会論文集|42巻359号(S51)
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![安全率がちょうど2[-]になる繰り返し荷重](https://image.itmedia.co.jp/mn/articles/2607/15/ay4328_saenai08_hyo05_w590.jpg)



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