レアアース泥調査でも活躍、JAMSTEC海底広域研究船「かいめい」をガッツリ見る:イマドキのフナデジ!(16)(3/3 ページ)
「船」や「港湾施設」を主役として、それらに採用されているデジタル技術にも焦点を当てて展開する本連載。第16回は、JAMSTECの海底広域研究船「かいめい」を取り上げる。
大型艤装を“やさしく”収容する後部作業甲板
かいめいの後部には広い作業甲板があり、クレーン、観測ウインチ、移動台車、ギャロースなどを配置する。
常設の観測ウインチとしては、CTD用繊維索ケーブルウインチ、CTD用鋼線ケーブルウインチ、大型ピストンコアラー用ウインチ、BMS(海底設置型掘削装置)ケーブルウインチを備えている。CTD用繊維索ケーブルウインチは、繊維索ケーブル10.6mm径、索長1万93mを備え、CTD採水装置に対応する。CTD用鋼線ケーブルウインチは、鋼線同軸ケーブル10.6mm径、索長7953mで、こちらもCTD採水装置に対応する。大型ピストンコアラー用ウインチは、繊維ロープ30mm径、索長1万2000mにおよび、GPC(ジャイアントピストンコアラー)採泥に用いる。BMSケーブルウインチは、光電気複合ケーブル36.6mm径、索長6330mを備え、海底設置型掘削装置とパワーグラブに対応する。
後部上甲板から見た作業甲板周辺。船尾側にはAフレームクレーン、甲板上にはピストンコアラーギャロースにCTDギャロース、中折れ式7.5トンクレーン(写真内左側にある右舷側)、ROV用クレーン、15/30トン多関節式クレーン(写真内右側にある左舷側)など、観測機器を海中へ投入/揚収する艤装が並ぶ[クリックで拡大]
後部の広い作業甲板。木甲板の作業面にはレール状設備、固定点、ハッチが並び、重量物の移動や固定を前提にした構成となっている。船尾側には内高13.8m、内幅8.8m、最大荷重35トンのAフレームクレーンを備える[クリックで拡大]
これらの常設観測ウインチはいずれもAHC機能付きだ。AHCはActive Heave Compensationの略で、波による船体動揺の影響を抑える。深海観測では、船体の上下動がワイヤやケーブルを通じて海中の観測機器に伝わるが、AHCは、その影響を抑え、採水、採泥、海底掘削、パワーグラブによる採取作業を安定させる。
クレーン類も、観測機器の扱いに合わせて、15/30トン多関節式クレーン、7.5トン中折れ式クレーン、CTD中折れ式ギャロース、Aフレームクレーンなどを用意している。Aフレームクレーンは、内高さ13.8m、内幅8.8m、最大起倒角度170度、作動時間150秒。最大荷重は35トン(振出固定/観測時)、20トン(起倒動作時)。船尾側で大型の海中機器を扱うための中核的な艤装だ。
15/30トン多関節式クレーンは、主巻1本掛けで15トン×15mまたは10トン×20m、主巻2本掛けで30トン×9mまたは10トン×20m、補巻1本掛けで2トン×20mの能力を持つ。7.5トン中折れ式クレーンは定格7.5トン×15m、CTD中折れ式ギャロースは定格5トン×4.5mとされる。甲板上の機器を単につるだけでなく、観測機器の種類や投入揚収位置に応じて使い分ける構成だ。
作業甲板の床面は観測機材を保護するため木甲板となっている。作業面には自走式移動台車を左舷用、右舷用の2台装備し、船尾上甲板を格納庫内から最後部まで縦行移動できる。1台当たり15トンまでの物品を移送可能だ。さらに、CTD採水装置移動台車は、CTD室から船体中央上甲板右舷まで横行移動し、1トンまでの物品を移送できる。
右舷側に設置したCTD中折れ式ギャロース(写真内左側)とピストンコアラーギャロース(同右側)。CTD中折れ式ギャロースは定格5トン×4.5mで、CTD採水装置の投入・揚収を支える。ピストンコアラーギャロースは、GPCなど柱状試料採取機器の運用に関わる[クリックで拡大]
後部作業甲板は、屋外の広い甲板ではなく、観測装置、常設観測ウインチ、クレーン、ギャロース、移動台車、操作室が連続する作業システムとして成り立っている。かいめいが「走る船」ではなく、観測機器を運用する研究プラットフォームであることは、この後部作業甲板を見るとよく分かるだろう。
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