ルネサスが2035年の売上高3倍増も視野に、AIで3段階の成長を目指す:組み込み開発ニュース(2/2 ページ)
ルネサス エレクトロニクスが同社の概況や事業方針などについて説明。足元で半導体市場の拡大をけん引するAIに焦点を当てた事業展開を強化し、AIインフラ、フィジカルAIとSDV、「Intelligence at the Edge」の3段階で優位なポジションを構築し成長を目指す。
「車載マイコンのシェアを奪還するための手は打ってある」
2030年までをけん引するAIインフラは、2025〜2030年の5年間で市場規模が5倍に拡大する見通しだ。これまではGPUに効率的に電力を供給するパワーデバイスの需要が強かったが、現在はパラメーター数が大きくなり続けるAIモデルを低遅延で効率良く処理することを目的に、GPU一辺倒ではないヘテロジニアスなコンピューティングの引き合いが強くなっており、メモリインタフェースなどMPU関連デバイスの需要が急激に高まっている。また、AIのワークロードを制御する回路基板向けの半導体も需要が伸びている。
ルネサスはメモリインタフェースやAIインフラ向けのパワーデバイスでトップ3に位置しており、市場拡大に合わせた事業成長が期待できるとしている。また、半導体デバイス単体だけではなくモジュール製品も新たに開発し顧客のニーズに応えていく方針である。AIデータセンター内における制御のニーズが拡大することで、ルネサスが得意とするマイコンやデジアナ混載プログラマブルIC「GreenPAK」を組み合わせたソリューションを提案する余地も広がるとしている。
フィジカルAIとSDVの市場は、2030年まではSDVの拡大が先行し、ロボット向けが中核となるフィジカルAIは2030〜2035年に大きく伸びるという見立てだ。市場規模は2025年比で、2030年に5倍、2035年には15倍に拡大する。ルネサスは車載マイコンで市場シェア2位であり、ローエンドからハイエンドのコンピューティングまでエンドツーエンドかつスケーラブルに製品を手掛ける唯一の半導体メーカーであることを強みとして、ADAS(先進運転支援システム)やEV(電気自動車)などでシェアを拡大する余地は大きいとする。柴田氏は「車載マイコンに関してはある特定の1社がシェアを伸ばす状況が続いているが、シェアを奪還するための手は打っており心配はしていない。自動車のビジネスは足が長いこともあり今すぐに効果が出るわけではないが、その成果を見せられるのは時間の問題だと考えている」と強調する。
Intelligence at the Edgeの市場は2030年以降に伸び始めるとしている。「AIの進化は確かに早い。しかし、2017年に登場したトランスフォーマーを組み込みに適用したアプリケーションがさかんに開発されるようになったのが今のタイミングであり、約10年のタイムラグがある。組み込みやフィジカルの世界に展開するにはそれなりに時間がかかることを考慮すると2030年以降という見立てになる」(柴田氏)。このIntelligence at the Edgeの市場に向けて取り組みを加速しているのが、エレクトロニクス製品の開発を加速するRenesas 365を中核としたデジタルスレッドの拡充である。柴田氏は「AIは確率論でしか結果を出せないが、デジタルスレッドを確立できればそれを決定論的に取り扱うことが可能になる」と説明する。
AIに注力した事業展開により今後の売上高見通しは、中期とする2030年に2025年の9544億円に対して2倍、2035年に同3倍まで伸ばすことが可能だとしている。2035年時点での事業別の構成比は、車載が35%、産業/インフラ/IoT(モノのインターネット)が50%、AltiumやRenesas 365などのソフトウェア&デジタライゼーションが15%となっている。
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