PTCが新製品「Orbit」「Jetstream」を発表、「Creo」「Codebeamer」も機能拡充:製造ITニュース(2/2 ページ)
PTCジャパンは、ユーザーイベント「PTC NEXT Spring 2026」で発表された同社製品のアップデート内容について説明した。
「Creo 13」のAI設計支援機能は3段階に分けて投入
今回のPTC NEXTでは、Creo史上過去最大の機能強化になったというCreo 13だが、その中核は“AI for CAD”と名打ったAIによる設計支援機能「Creo AI Assistant」である。Creo 13のユーザーであれば無償で利用できる。
Creoでは、AI成熟度のフレームワークを、質問への回答、コンテンツの要約、情報の取得を通じてユーザーに助言を提供する「Advice(助言)」、人が関与する一部のタスクを自動化してユーザーを支援する「Assist(支援)」、AIの豊富な専門知識を利用して開発プロセスを自動化する「Automate(自動化)」の3段階に分けて定義している。
Creo AI Assistantもこの定義に合わせて、Adviceから始めて、Assist、Automateを順次投入する方針である。Adviceでは、Creo 13のリリースと同時に利用できるようになっており、Creoを用いた設計業務に関するベストプラクティスに基づいたガイダンスなどの助言をチャットインタフェースを通じて即時に提供する。なお、チャットインタフェースは日本語対応しており、日本語で質問すれば、日本語で回答を出力するようになっている。
Assistについても、希望者であれば利用可能なオープンβの提供が始まっている。Assistでは、CADを用いた設計業務でよくある繰り返し作業の代替が可能になる。例えば、CADデータ内のアセンブリのフィレット調整について、人手で調整を一度行えば、AIがその作業内容を学習して以降の繰り返し作業は代わりに実行してくれる、といったイメージだ。2026年末には一般向けリリースに移行する予定である。
一部先行顧客に絞ったクローズドαとして提供しているAutomateは、Assistよりもさらに踏み込んだ設計業務の自動化が可能になっている。例えば、設計中のCADデータの面積比はどれくらいの値が最適であるかを提案し、その面積比にするためにCADデータを変更するにはどのようなアプローチがあるか複数の選択肢を示した上で、設計者が選択したアプローチによる変更結果を元の状態との差分を示しながら確認できるようにする。これは、AIが勝手に設計内容を変更するのではなく、設計者自身の意図通りの変更になっているかを確認するプロセスになっているという。なお、Automateの一般向けリリース時期は未定である。
マツダも採用した「Codebeamer」、SDV化対応で必須のツールに
Codebeamerの新機能については、PTC シニアバイスプレジデント ALMプロダクトマネジメント担当のクリストフ・ブラオイクレ氏が説明した。
ALMであるCodebeamerは、SDV(ソフトウェアデファインドビークル)化が進み車載ソフトウェアの規模と複雑性が爆発的に拡大している自動車業界での採用が進んでいるという。直近の国内採用事例として発表されたのがマツダだ。ブラオイクレ氏は「Codebeamerは、ソフトウェアの複雑性とコンプライアンスの管理がしやすいという特徴がある。実際に、マツダのような大きな開発組織であっても、機能安全やセキュリティ、テスト検証などで複雑化する車載ソフトウェアの管理ができるようになった」と語る。
また、アジャイル手法を用いたソフトウェア開発への対応や、AIアシスタントの活用による開発効率の向上など、クラウドネイティブな要素が盛り込まれつつあるSDVの車載ソフトウェアの開発プロセスを効率的に管理するための機能が用意されている。
PTC NEXTでは、「Codebeamer AI」として、開発業務で分からないことを即座に回答してくれるAIアシスタントや、自然言語を理解して利用者の意図に沿った検索結果を出力するセマンティック検索、要求内容を検証してテスト実行できるかを確認する機能、逆に設定したテストケースが要求内容をカバーするかを確認する機能などを提供する方針を明らかにした。この他にもAI関連では「MCPサーバを介してAIエージェントと連携する機能が実装段階に入りつつある」(ブラオイクレ氏)という。
構成管理では、異なる製品バージョンの差分を自動的に検知し、作業者がその内容を確認した上で統合作業を進められる機能を提供する。また、さまざまなバージョンのソフトウェアを同時並行で開発できるようにするプロダクトラインエンジニアリングの機能や、3D CADのCreoやPLMのWindchillと連携することによってハードウェアとソフトウェアを統合した開発が可能になるIPE(Integrated Product Engineering)の機能なども提供する予定である。
ブラオイクレ氏はCodebeamerの導入事例として、BMW、ランボルギーニ、マツダの取り組みを紹介した。BMWは、従来使用していたALMを置き換える形で、同社グループの要件管理ソリューションとしてCodebeamerを導入した。まずは、この置き換えによって直接的にコスト削減効果が得られているという。SDVやレベル3以降の自動運転技術、EV(電気自動車)の開発にも適用しており、一貫したプロセスによるフルトレーサビリティーで認証取得などもできるようになっている。
ランボルギーニは、ハイブリッドシステムの大規模ソフトウェア開発でCodebeamerを活用した。
マツダは、SDV開発におけるエンドツーエンドのトレーサビリティー確保を目的としてCodebeamerを採用した。これまでの文書ベースの要件管理をデジタル化し、開発プロセス全体をデータでつなぐことによる最適化を目指している。「手戻りが少なくなるなど評価も得られている」(ブラオイクレ氏)という。
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