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ボルト1本でどこまで耐えられる? 応力集中と許容繰り返し荷重を考える冴えない機械の救いかた(7)(4/5 ページ)

本連載「冴えない機械の救いかた」では、メカ設計の失敗事例を題材に、CAE解析や計測技術を用いて、不具合の発生メカニズムとその対策を解説していく。第7回は、ボルト1本がどれだけの繰り返し荷重に耐えられるのかを考える。ねじ谷底の応力集中や疲労限度線図の基礎を整理しながら、ボルト1本構成の許容繰り返し荷重を求める。

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ボルト1本構成の許容繰り返し荷重
 トルク管理しなかった場合、ないしはボルトが緩んだ場合

 ボルト1本構成の被締結体に作用させることのできる許容繰り返し荷重を求めましょう。

 最初は、ボルトがきちんと締め付けられていなかった場合、あるいは緩みが発生してボルト軸力がほぼゼロになった状態です。

 図12にボルト締結体へ繰り返し荷重Fが作用している状態を示します。ボルトの初期締結トルクがゼロのとき、ボルトねじ部に発生する応力は「荷重÷断面積」で求まります。応力振幅σaはその半分ですね。次式で表されます。

ボルト締結体に繰り返し荷重Fが作用している状態
図12 ボルト締結体に繰り返し荷重Fが作用している状態[クリックで拡大]
式11
式11
式12
式12
式13
式13

 ねじ部の断面は図13に示したように、らせん溝が切られた軸の断面なので円形ではありません。断面積は、ねじ有効径を直径とする円の面積より小さく、谷径を直径とする円の面積より大きくなります。そのため式12式13が使われています。

ねじの断面
図13 ねじの断面[クリックで拡大]

 では、応力振幅と平均応力を求めましょう。図12の繰り返し荷重を1万[N]とします。ボルトは強度区分12.9のM10ボルトです。結果を表1に示します。

 平均応力はボルト締結力によるものではなく、前回の図2で示した平均応力です。つまり、全荷重の半分の荷重によるものとしました。

M10ボルトに1万[N]の繰り返し荷重が作用したときの応力振幅と平均応力
表1 M10ボルトに1万[N]の繰り返し荷重が作用したときの応力振幅と平均応力[クリックで拡大]

 強度区分12.9なので、引張強さは1200[MPa]、降伏応力は1200×0.9=1080[MPa]でしたね。

 表2に前述した手順で求めた「切欠係数と平均応力を考慮した疲労限度」の計算過程を示します。切欠係数と平均応力を考慮した疲労限度は114[MPa]となりました。

前述した手順で求めた「切欠係数と平均応力を考慮した疲労限度」の計算過程
表2 前述した手順で求めた「切欠係数と平均応力を考慮した疲労限度」の計算過程[クリックで拡大]

 切欠係数と平均応力を考慮した疲労限度が114[MPa]に対して、応力振幅は84[MPa]です。マージンは1.35[-]となりました。

 マージンは2[-]以上ほしいところなので、ボルトの呼び径を太くする必要があります。

 ここで「うちの会社では安全率として5[-]とか12[-]を使っているのだが、マージンが全然足りないのでは?」と感じられる読者がいると思います。

 この5[-]とか12[-]の安全率は、ググったらすぐ見つかる「アンウィンの安全率」です。表2は切欠係数と疲労限度線図を使っているので、アンウィンの安全率とは次元の異なる話です。詳しくは前シリーズで述べました。

 では、安全率がちょうど2[-]になる繰り返し荷重を求めましょう。結果は表3のようになりました。繰り返し荷重は6885[N]となり、前回の表1(1)の値と一致します。

安全率がちょうど2[-]になる繰り返し荷重
表3 安全率がちょうど2[-]になる繰り返し荷重[クリックで拡大]

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