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高速塑性変形が開く、異材接合と軽量材料成形の可能性天田財団 助成研究成果発表会(2/2 ページ)

天田財団は、「OPIE'26」の併催イベントとして「2026年度 天田財団 助成研究成果発表会」を開催した。レーザープロセッシング分野と塑性加工分野の2分野で特別講演と助成研究成果発表が行われ、レーザー光源や高速塑性変形をテーマに、加工技術の新たな可能性が示された。本稿では、塑性加工分野の発表内容を取り上げる。

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発泡直後に柔軟性、発泡アルミニウムの成形自由度向上

 助成研究成果の1つ目として、群馬大学 教授の半谷禎彦氏が「発泡アルミニウムの高速成形を実現する発泡直後のプレス加工」について発表した。

 発泡アルミニウムは、内部に多数の気孔を持つ多孔質金属材料である。軽量でありながら衝撃吸収性や防音性、断熱性に優れるため、自動車部品や建材、衝撃吸収材などへの応用が期待されている。一方で、常温では塑性加工が難しい材料でもある。圧縮すると気孔が押しつぶされて層状に変形し、曲げや引っ張りでは割れやすい。このため、発泡後の形状を後から加工することは容易ではない。

 半谷氏らが着目したのは、まだ柔らかい状態にある発泡直後のアルミニウムだ。通常、発泡アルミニウムは、加熱すると膨張する前駆体材料「プリカーサ」を用い、発泡させた後に冷却して固化させる。半谷氏らは、発泡後から冷却・固化するまでの時間を利用し、プレス加工を行うことで、気孔をある程度維持したまま形状を付与できるのではないかと考えた。

 実験では、発泡直後のアルミニウムに対して平板プレスや金型によるプレス加工を行った。その結果、内部の気孔を完全につぶすことなく、一定の形状に成形できることが確認された。X線CTによる観察でも、成形後の内部に気孔が残っている様子が確認されており、従来は難しかった発泡アルミニウムの二次加工に新たな可能性を示した。

 さらに、複数のプリカーサを同時に発泡させ、発泡直後にプレスすることで、材料同士を接合する試みも行われた。小さなプリカーサを組み合わせて大きな発泡体を作る狙いで、X線CTでは接合境界が見えない状態で一体化していることが確認された。3点曲げや4点曲げ試験でも境界で割れなかったといい、発泡直後の柔らかい状態を利用することで、別々の発泡体を一体化できる可能性が示された。

 加熱方法としては、ハロゲンランプの有効性も示された。ハロゲンランプは出力を調整しやすく、発泡温度の異なる材料にも対応しやすい。発表では、発泡温度が約580℃のADC12と、約650〜660℃のA1050を対象に、ランプ出力を調整しながら同程度の時間で処理する例が紹介された。

 半谷氏は「これまで発泡してから冷めるまでの時間は、いわば“無駄な時間”になっていた。今回はその時間を使って加工する試みとなる。プレス成形だけでなくローラー成形も可能で、発泡と加工を連続的に行えることも分かった。ランプを複数用いれば発泡工程を高速化でき、『高速成形』に近づけるのではないかと期待している」と述べた。

 さらに、使用後に材料を分離しやすくする易解体技術への応用も視野に入れており、成形/接合からリサイクル性までを含めた展開も示された。

水中衝撃波で探る、マグネシウム合金板の常温成形

 助成研究成果の2つ目として、熊本高等専門学校 教授の井山裕文氏が「水中衝撃波を用いたAZ31マグネシウム合金板の張出し成形」について発表した。

 井山氏が取り上げたのは、水中細線放電で発生する水中衝撃波を利用し、金属板を成形する液中放電成形である。対象としたのは、AZ31マグネシウム合金板だ。

 マグネシウム合金は軽量材料として期待される一方、常温では成形が難しい。通常は200〜300℃程度に加熱して延性を高める方法が用いられるが、設備コストやエネルギーコストが課題となる。井山氏らは、衝撃波などを利用する高エネルギー速度加工であれば、常温でも成形性を高められる可能性があると考えた。ただし、高速変形条件におけるマグネシウム合金の変形強度や成形性は十分に明らかになっていないことから、今回の研究に取り組んだ。

 実験装置は、圧力容器に水を入れ、その中に電極とアルミニウム細線を設置する構成とした。実験では、充電電圧を1000〜1400V、充電エネルギーを5〜9.8kJの範囲で設定し、双曲面状と放物面状の2種類の圧力容器を用いた。さらに、カバープレートを使用しない条件、上面に配置する条件、下面に配置する条件を比較し、AZ31板の成形量や変形挙動への影響を調べた。

 2種類の圧力容器を用いた成形実験では、最大成形量は双曲面状の圧力容器で大きくなった。また、AZ31板の下にカバープレートを設置した条件と、設置しない条件を比較した結果、カバープレートを用いた方が成形量は大きくなった。

 また、ハイスピードカメラによる観察実験では、直径140mm/板厚1mmのAZ31板を試料とし、直径0.5mmまたは0.7mmのアルミニウム細線を用いた。充電エネルギーは2.5kJとした。その結果、直径0.7mmのアルミニウム細線と放物面状の圧力容器を組み合わせた条件では約15mmの成形量が得られ、細線径や容器形状が変形過程に影響することが示された。

 さらに井山氏らは、数値シミュレーションによって変形過程の再現にも取り組んだ。水中衝撃波の発生源である放電をそのまま数理モデル化することは難しいため、シミュレーションでは爆薬に置き換えて計算した。計算では、放物面状の圧力容器では板の外周部から中央部へ向かって変形し、双曲面状の圧力容器では全体が球面状に張り出すような変形過程となることが示された。

 しかしながら、実験結果とシミュレーションには差もみられた。その要因について井山氏は「シミュレーション上で周辺部の板材の流れ込みを十分に再現できていないことや、設定した圧力が不足していることが考えられる。今後は境界条件や爆薬量の設定を見直す必要がある」と説明した。

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