SDV時代には「製品開発スピード」だけでなく「製品発見スピード」も求められる:車載ソフトウェア(2/2 ページ)
MONOistがライブ配信セミナー「SDVセミナー 2026冬〜ソフトウェアが定義するクルマの未来と、開発体制の変革〜」を開催。本稿ではパナソニック オートモーティブシステムズの水山正重氏による基調講演について紹介する。
新たな競争軸のファクターとなる「製品発見スピード」
特にデジタルプロダクトにおいては、ブラックボックスに強い技術を保有するのと同等、あるいはそれ以上に健全で強いエコシステムを構築することが自分たちの製品の強い競争力につながるとし、「これらはゲームチェンジの非常に強い要素だ」(水山氏)と述べた。こうした3つの変革において、同社では開発の手法、アーキテクチャ、エコシステム形成のための業界標準化の推進という活動をソフトウェアファーストという形で取り組んでいる。
また、新たな競争軸のファクターとして製品発見のスピードというものがあり、製品発見の競争力が今後の優位性を左右するようになるとみている。
製品開発では、SDV化により指数関数的に大規模化していくソフトウェアの開発スピードを上げていくことが大切だ。それとともに「創るべき製品を早く発見する」という競争にも優位性を持たなければこのSDVの世界では勝てないとみる。製品発見のスピードはいかに素早く失敗と改善を繰り返し、創るべき製品に行き着くかということだ。既にIT業界ではこうした開発プロセスを最適化した取り組みを行っており、そのためにアジャイル開発が必要になっているが、こうした流れが自動車業界にも押し寄せてきている。
こうした取り組みを行うためには、ハードウェアファーストからソフトウェアファーストという形で開発の在り方を変革することが大切だ。従来は膨大なソフトウェアをハードウェアの世代ごとに作り直していたが、それには巨額な資金と年月が必要となる。世代ごとに捨てていったのでは競争力は高まらないことから、ソフトウェアは継続的に進化させていくことが重要となる。
最初から特定のハードウェアを前提とせずにバーチャルなレファレンスとなる標準のハードウェアを作り、その上でソフトウェアを進化させていく。それぞれしかるべき時に製品化としてハードウェアを開発し、そのソフトウェアを機能させるためのハードウェアを作っていくという、従来と発想を逆転していくことこそSDVにおけるゲームチェンジを勝ち抜いていくためのソフトウェアファーストの考え方となる。
こうしたことを実現するのがハードウェア仮想化アーキテクチャの標準VirtIOだ。VirtIOの導入により、SoC(System on Chip)を含むハードウェアへの依存性を解消し、ソフトウェアを進化させ、後からハードを選ぶことが可能となる。また、ハードウェア開発と独立して、クラウドに構築した仮想ハードウェア上でソフトウェアの高速開発および継続進化を実現できるなどの効果が得られるという。
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