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SDVのトップを快走するパナソニックオート、オープンソース活動が原動力にSDVフロントライン(1/4 ページ)

自動車産業でSDVを推進するキーパーソンのインタビューを掲載していく本連載。第5回は、国内大手ティア1サプライヤーであるとともに、SDVに関する先進的な取り組みで知られるパナソニック オートモーティブシステムズの水山正重氏に話を聞いた。

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 ソフトウェアが自動車の機能や価値を定義するSDV(ソフトウェアデファインドビークル)に注目が集まる一方で、国内自動車業界によるSDVへの取り組みが海外と比べて遅れていることが指摘されている。

 そのような状況下で、国内自動車業界におけるSDV対応で先行グループに位置するのがパナソニック オートモーティブシステムズだ。特に、ソフトウェアが大規模化するSDVでより重要な役割を果たすOSS(オープンソースソフトウェア)を積極的に取り入れるとともに、ECU(電子制御ユニット)統合に向けた仮想化に用いられる標準インタフェース「VirtIO」の自動車向け規格を策定するなど、従来のティア1サプライヤーの枠を超えた取り組みが注目を集めている。

 そこで、パナソニック オートモーティブシステムズ 代表取締役 副社長執行役員 CTO CISO(Chief Information Security Officer)、知的財産担当の水山正重氏に、同社におけるSDVへの取り組みやOSSの活用、VirtIOの標準化の狙いなどについて聞いた。

連載「SDVフロントライン」

 製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)が進みつつある中で、トヨタ自動車を率いる豊田章男氏によって印象付けられた「100年に一度の変革期」という言葉に代表される通り、自動車産業も大きな変革の波にさらされている。その変革の波を端的に示す言葉として知られるのがダイムラーが2016年9月のパリモーターショーで提唱した「CASE」(コネクテッド、自動運転、サービス/シェアリング、電動化)だ。そして、このCASEの推進を支える原動力になると見られているのがSDV(ソフトウェアデファインドビークル、ソフトウェア定義型自動車)である。本連載「SDVフロントライン」では、自動車産業においてSDVを推進するキーパーソンのインタビューを掲載していく。

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SDVの本質はスピードによるゲームチェンジにあり

MONOist 現在、パナソニック オートモーティブシステムズの技術開発トップを務めていますが、これまでパナソニックグループではどのような業務に携わってきたのでしょうか。

パナソニック オートモーティブシステムズの水山正重氏
パナソニック オートモーティブシステムズの水山正重氏

水山氏 1988年に当時の松下電器産業に入社した。それ以前にOSの技術開発などに携わっていたこともあって情報システム研究所の配属になった。そこで、UNIX関連を中心にOS技術開発を担当し、ソフトウェアアーキテクチャやSoC「UniPhier」のシステムアーキテクチャの開発にも加わった。また、2000年代からは携帯電話機関連をはじめ業界標準化活動に関わるようになった。

 2009年からは携帯電話機やスマートフォンの商品/要素技術開発責任者を務めた。その後2013年にオートモーティブ事業部門に移籍してインフォテインメント事業技術責任者となり、2017年にはオートモーティブ事業のCTO兼先行技術開発責任者を務めた。2022年4月に事業会社制に移行してからは現在の役職になっている。

MONOist 現在、SDVへの注目が集まっていますがこのトレンドをどのように見ていますか。

水山氏 自動車業界では2016年ごろから「CASE」という言葉が使われるようになったが、その真意は実のところSDVでも変わっていないと考えている。光の当て方が違うだけではないか。

 これまでは、1台の車両に約100個搭載されているといわれている、アクチュエーターやセンサーを制御するためのソフトウェアを組み込んだECU(電子制御ユニット)が車両内にたくさん分散配置されていた。これらの分散配置されたECUがソフトウェアで定義されることにより、セントラルコンピュータ とペリフェラルという形のアーキテクチャに整理され、さらにハードウェアの世代を越えてソフトウェアの互換性を維持するために仮想化技術が導入されていくという、汎用コンピューティングアーキテクチャの変遷と同じような過程にあるのが現在の状況だろう。

 実際に欧米の自動車メーカーが、分散配置されたECUのセントラルコンピュータへの統合に対応するための取り組みで先行していた時期もあったが、現状ではそれらの取り組みが奏功したとはいえない結果になっている。セントラルコンピュータへの機能集積を進め過ぎたのか、自動車の機能で押さえるべきポイントを捉えきれずにうまくいかなかったのかもしれない。その結果として、必ずしも全てのケースで1個のHPC(高性能コンピュータ)にソフトウェアを集積しなくてもよいのではないかという方向で議論が進みつつあると感じている。

MONOist SDVに取り組むことにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

水山氏 SDVの本質はスピードによるゲームチェンジにある。ソフトウェアを高速に進化させる能力を持つものが勝つ。既にゲームがチェンジしているのに、1年前と同じような戦い方をしていたらゲームから退出せざるを得ないではないか? ということをさまざまなところで伝えるようにしている。

自動車業界のゲームチェンジ
自動車業界のゲームチェンジ[クリックで拡大] 出所:パナソニック オートモーティブシステムズ

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