NECが独自AIを活用した「世界初」の変換技術を開発 3D点群データを90%軽量化:3Dスキャナーニュース
NECは、独自AIとガウシアンスプラッティングを活用し、データ容量が大きく細部を把握しづらい3D点群データを、軽量で高精細な3Dデータへ容易に変換する「世界初」(同社)の技術を開発した。
NECは2026年5月11日、大容量で細部を把握しづらい3D点群データを、軽量で高精細な3Dデータへ容易に変換する「世界初」(同社)の技術を開発したと発表した。2027年度中の実用化を目指す。
同技術は、NECが長年培ってきた独自AI(人工知能)やデジタルツインの知見、ノウハウ、研究成果に、映画やアニメの背景生成、バーチャルプロダクションで応用が進むガウシアンスプラッティングを組み合わせたものだ。ガウシアンスプラッティングとは、3Dの形状や空間を“小さなぼんやりした点”の集まりとして表現し、それらを重ねることで滑らかで自然な立体映像を生成する技術を指す。
都市道路のような広範囲な地形や大規模構造物の3D点群データを変換し、タブレット端末や一般的なPC上でリアルタイムに表示できるようになる。現実に近い見た目で、形状や外観を直感的に把握できる画像として表示できるため、自治体やエネルギー業界、高速道路事業者など、現場作業を伴う分野でのデジタルツイン導入に役立つ。
デジタルツイン導入を容易に、遠隔点検や合意形成を支援
同技術の活用によって、点検や計測業務のリモート化が可能となり、問題の早期発見や、遠隔からの判断と意思決定を通じた現場対応の効率化を支援する。現場作業者や監督者を含むステークホルダー間の迅速な合意形成にもつながる。人材不足の解消に寄与するとともに、防災やまちづくりのDX(デジタルトランスフォーメーション)推進も後押しする。
従来の大容量3D点群データでは、画面上で拡大表示した際、建築物や機器の文字など細部が現実と乖離(かいり)して表示されることがあり、ユーザーの意思決定が難しいケースがあった。同技術では、現場における機材や設備の形状、配置、外観を高精細に表示することが可能となり、監督者が現場に足を運ぶことなく、遠隔から多地点を管理したり、リモートで点検/判断したりできるようになる。
変換後の3Dデータは、軽量化に伴う形状の歪みが抑えられている。構造物のボルトなど細かな凹凸も正確に表現できるため、リモート計測なども可能だ。
点群データを90%軽量化、画像データなしで変換可能
同技術は、元になる点群データを90%軽量化できるという。例えば、4.4GBの3D点群データを0.3GBの3Dデータに変換できる。これにより表示速度が大幅に向上し、タブレット端末や一般的なPCでスムーズに閲覧/共有できる。ステークホルダー間での報告や合意形成の迅速化にも役立つ。
NEC独自のAIを用いることで、点群3Dデータからさまざまな位置のシミュレーション画像を自動生成できる。このため、一般的なガウシアンスプラッティング技術で必要となる膨大な現場画像データを新たに用意する必要がなく、既存の3D点群データのみで利用することが可能だ。
NECは、インフラ事業者など現場作業が発生するさまざまな顧客に対し、デジタルツインの導入をより容易にする考えだ。まちづくり全体におけるDXを推進し、防災や地域活性化などの社会課題の解決に取り組むとしている。
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