なぜオムロンは農業の“作業”ではなく“判断”の自動化を目指すのか:FAインタビュー(1/2 ページ)
世界の人口は増加しており、2050年には100億人を突破すると見られている。人口増加に伴う食料需要の高まりに対して供給力の不足が懸念されている。そうした中、オムロンはこれまで培ったセンサーやコントローラーなどのFA技術を活用した“アグリオートメーション”に挑もうとしている。新事業の担当者に話を聞いた。
進む農地の大規模化、オムロンがFA技術で挑む“農業オートメーション”
日本など一部先進国で人口減少が進む一方で、世界全体では人口が増加しており、2050年には100億人を突破すると見られている。人口増加に伴う食料需要の高まりに対して、農業従事者の不足などにより、供給力に対する懸念が生じている。
国内では、農業従事者の高齢化、後継者不足による生産量などの低下が懸念され、海外では農業の大規模化が進む中で広大な農地を管理する人材不足が拡大している。気候変動に伴って頻発する自然災害も、作物に深刻な影響を与えている。燃料や肥料などの生産資材の価格も高騰しており、農業はさまざまな課題に直面している。
オムロンでは、これまで培ったセンサーやコントローラーなどのFA技術を活用した“アグリオートメーション(農業の自動化)”によって、農業を巡る社会課題に挑もうとしている。
オムロンの制御機器(Industrial Automation Business Company、IAB)では2022年に新ドメイン事業開発センタを設立した。新ドメイン事業開発センタのミッションは、製造業を中心とした2次産業で培ってきたノウハウを、農業などの1次産業、医療や物流などの3次産業に応用して、新しい事業の開発に取り組むことだ。
近年は、日本においても農地の大規模化が進んでいる。農業経営体の1経営体当たりの経営耕地面積は増加傾向にあり、農地法の改正によって企業の農業参入のハードルも下がっている。そうした中で、拡大する農地の管理が課題となっており、オムロンでは大規模化が進む圃場に対して、オートメーションの実装による収量の増加や品質の向上を目指している。
農地は、オムロンから見れば、いわば“生産現場”だ。生産現場に対するオートメーションの実装という言葉からは、さまざまな作業の自動化をイメージしがちだが、オムロンがまず取り組んでいるのは、圃場(生産現場)のセンシングと、そこから得られるデータを活用した“判断”の自動化だ。
オムロンの制御機器事業では従来、「センシング&コントロール+Think」をコア技術としてきた。これは、現場から必要な情報を取り出す“センシング技術”、蓄積した現場データや人の知恵や知見を用いて分析する“+Think”、そしてこの情報を基に現場にソリューションを提供する“コントロール”を表した言葉となっている。このコア技術をぶれずに農業に持ち込もうとしている。
オムロン インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 商品事業本部 新ドメイン事業開発センタ 農業ドメインGr プロジェクトリーダの岡田康孝氏は「大規模なフィールドにおいて、作物をセンシングして全数を捉えて、センシングしたデータをしっかり分かりやすく加工して管理者に提示するところをまずスタートにしたい。これが農生産のモニタリングとなる。そして、データを基に、次に何をしなければならないかという判断を自動化し、最終的には農作業自体のオートメーションにつなげたい」と話す。
PoC(概念実証)の舞台となっているのは、国内にある約3ha(3万m2)のキウイ農園だ。甲子園球場と同規模の面積を持つキウイ農園で、オムロンはスズキと共同開発した自動走行型のセンシングロボットと、センシングロボットから得られた現場データを活用した経営支援サービスを提供しようとしている。
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