オムロン制御機器事業は「復活あるのみ」、全ては顧客起点で:製造マネジメントニュース(1/3 ページ)
オムロンは、2030年度を最終年度とする「中期ロードマップ SF 2nd Stage」について説明した。デバイス事業を軸に競争力の立て直しと“GEMBA DX”実現に向けた投資シフトを進める。
オムロンは2025年11月7日、東京都内およびオンラインで記者会見を開き、同日開催の取締役会で決議された、2030年度を最終年度とする「中期ロードマップ SF 2nd Stage」(以下、SF 2nd Stage)について説明した。
デバイスの競争力を起点に“GEMBA DX”へ転換
SF 2nd Stageは、2026年度から2030年度までの5カ年を対象としている。2024年9月にスタートした、国内外計2000人の人員削減などを含む構造改革プログラム「NEXT2025」が2025年9月に完了したことを受け、新たに策定された。
SF 2nd Stageでは2030年度までの5年間で、デバイス事業の競争力強化を最優先に取り組む。現在のオムロンの収益の源泉となっているデバイス事業をより強固にすることで、その後のデータサービスなどによる新たな成長を図る。
オムロン 代表取締役社長 CEOの辻永順太氏は「いま一度原点に戻り、次の5年間を“GEMBA DX(デジタルトランスフォーメーション)企業”への転換の基礎となる競争力を徹底的に磨き上げていく。そして持続的な成長を成し遂げたい」と話す。
GEMBA DXとは、オムロンの強みであるデバイスから生まれる高品質のデータと、その他の現場にあるデータを、現場知見やノウハウを生かして融合させて価値ある情報へと変換し、現場の課題解決に貢献するデータサービスとなる。
「われわれの主力事業であるFAやヘルスケアの領域ではDXの取り組みが遅れている。この遅れを、われわれの持つ強みを生かして解決していきたい」(辻永氏)
コントローラーなど13の注力事業に開発投資を傾斜
競争力強化に向けた具体的な取り組みは、事業ポートフォリオの再構築が核となる。現在、オムロン全体の売り上げの5割、営業利益の8割を、10の事業で生み出しているが、その10事業への開発投資額はこれまで全体の40%程度だったという。
「全事業を対象に規律ある運営を行ってきたが、成長投資という観点では十分ではなかった。結果として伸ばすべき事業、成長余力のある事業に十分な投資ができず競争力強化に遅れが生じた」(辻永氏)
そこで収益性、市場成長性、データサービス事業との親和性の観点で、13事業を注力事業と定めた。FA分野からはコントローラー、汎用センサー、セーフティー、制御コンポ、基板検査装置の5事業が選ばれた。リレーやスイッチは制御コンポに含まれるが、ロボティクスはもれている。選択と集中をより加速させることで、グループ全体の成長を最大化させ、13事業では市場成長率を上回る成長を実現する。
それ以外の39事業はキャッシュカウ/課題事業として、市況の変化に合わせた投資を行い、高収益化を着実に進める。自助努力での改善が難しい場合は、他社との協業も検討する。注力事業との入れ替えも起こり得るが、事業の切り出しなどは「“今の段階”では全く考えていない」(辻永氏)としている。
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