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デンソーとロームの協業は「新たなステージ」へ、株式取得提案は取り下げ製造マネジメントニュース

デンソーは2025年度(2026年3月期)決算会見において、ロームに対する株式取得提案の取り下げについて説明した。

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 デンソーは2026年4月28日、オンラインで開催した2025年度(2026年3月期)決算の会見において、同日発表したロームに対する株式取得提案の取り下げについて説明した。

 デンソーは同年3月、ロームに対して株式を取得する提案を行っていることを明らかにしている。また、同月31日に行った、2026〜2030年度の中期経営計画「CORE 2030」の会見でも、デンソー 代表取締役社長 CEOの林新之助氏が「ロームとのシナジーは大きいと考えている」とコメントするなど、ロームの株式取得に積極的な姿勢を示していた。

 今回のデンソーによるロームの株式取得提案の背景には、2025年5月に両社間で締結した「半導体分野における戦略的パートナーシップ」の構築に向けた基本合意があった。これ以降、ロームが民生市場などで培ってきた最先端の半導体技術やデンソーが持つ自動車分野での高度なシステム構築力を融合することで、アナログICを中心に、クルマの電動化や知能化を支える高品質なデバイスのラインアップの補完および開発面での連携を進めてきた。また、両社が持つ半導体事業の中で、親和性の高い分野において、より幅広い連携を視野に入れて協議を進め、強固なパートナーシップを構築してきたという。

 デンソーは、この戦略的パートナーシップを推進する中で、半導体を巡る競争が激化する近時の環境下において、半導体の技術開発や供給体制における課題の解決と顧客への提供価値向上を実現するため、産業機器/民生機器の領域で強みを有するロームと連携し、用途や市場の異なる領域で培われた技術や知見を相互に生かすことによって、半導体事業における幅広い領域での貢献が可能になると考え、ロームに対して株式取得提案を行ったとしている。

 その後ロームは、デンソーによる株式取得提案の是非を判断する、独立社外取締役などで構成される特別委員会を組成し、ロームの企業価値の向上や株主の共同利益確保などの観点から検討を進めてきた。しかしながら、デンソーの株式取得提案は、ロームの取締役会や特別委員会から賛同意見を得ることができなかった。林氏は「本提案を進めることの意義や、当社の中長期的な企業価値への影響、両社の最適な関係の在り方などについて総合的に検討した結果、本提案を取り下げることとした」と語る。

デンソーのロームに対する株式取得提案の取り下げについて
デンソーのロームに対する株式取得提案の取り下げについて[クリックで拡大] 出所:デンソー

 一方、株式取得提案による一連の協議を通じて、次世代モビリティやカーボンニュートラル社会の実現に向けて、両社の技術や強みを掛け合わせることで技術/製造両面のさらなる競争力強化を実現し、自動車および民生/産業機器の両分野における顧客への提供価値を向上できるという考えについて確かな共有認識を築くに至った。「本提案は取り下げるものの、両社の共創の可能性が失われたわけでなく、むしろ今後に向けた協業の広がりと深まりについて具体的な手応えを感じている」(林氏)とし、協業施策や人的交流を進めて共創活動をこれまで以上に進展させていくことで合意したという。

 林氏は「これまで民生/産業機器と車載の半導体は異なる進化の方向性を示してきた。しかし、民生/産業機器でもより高いパワー密度が求められるようになり、車載も多種多様な半導体が自動車の付加価値向上に必要になるなど、共通項が非常に多くなってきた。今回の協議も、そういう前提に基づいてさまざまな可能性を検討してきた。技術開発では、民生/産業機器と車載の共通項を基に共通仕様が作れるというシナジーが期待できる。生産面では、民生/産業機器と車載をつなぐような設備やライン、プロセスの考え方が見いだせる。株式取得提案にこだわるよりも、今の協業の形を進化させながら、技術開発と生産での価値向上を追求していくという新たなステージに入ることとした。また、国際競争力の向上はわれわれのモチベーションにもなっている。海外に対して競争力のあるものを作っていく上で、民生/産業機器と車載で分けるのではなく一緒に考えていくことが必要だからだ」と述べている。

 なお、デンソーの2025年度連結業績は、売上高が前年度比5.3%増の7兆5400億円、営業利益が同6.5%増の5525億円、税引き前利益が同6.8%増の6173億円、当期利益が同5.9%増の4438億円だった。関税費用の発生や部材費高騰、人への投資増加などの影響があったものの、合理化努力や操業度の良化で打ち返し増益を確保した。

デンソーの2025年度連結業績
デンソーの2025年度連結業績[クリックで拡大] 出所:デンソー

 2026年度連結業績見通しは、売上高が前年度比1.7%増の7兆6700億円、営業利益が同9.5%減の5000億円、税引き前利益が同10.4%減の5530億円、当期利益が同13.9%減の3820億円。将来成長に向けた投資強化に加え、中東情勢悪化などによる不確実リスクを450億円織り込んだため減益を予想している。

デンソーの2026年度連結業績見通し
デンソーの2026年度連結業績見通し[クリックで拡大] 出所:デンソー

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