SUSEのエッジ戦略が完成形へ、「タイニーエッジ」をカバーするLosantを買収:組み込み開発 インタビュー(1/2 ページ)
Linuxディストリビューションを展開するドイツのSUSEがエッジ戦略を注力している。2026年2月には、このエッジ戦略を強化するために米国のLosantを買収した。SUSE CSOのフランク・フェルドマン氏に同社のエッジ戦略やLosant買収の狙いについて聞いた。
Linuxディストリビューションを展開するドイツのSUSEがエッジ戦略を強化している。1992年に世界で初めてLinuxを商用化したベンダーとして知られるSUSEは、SAPのERPに用いられるLinux OSの約70%を占めるといわれるエンタープライズ向けLinuxディストリビューションの「SUSE Linux Enterprise(SLE)」が広く知られている。しかし近年は、エッジ向けソリューションの技術開発に注力している。
そしてSUSEは2026年2月、このエッジ戦略を強化するために米国のLosant(ロサント)を買収した。SUSE CSO(最高戦略責任者)のフランク・フェルドマン(Frank Feldmann)氏に、同社のエッジ戦略やLosant買収の狙いについて聞いた。
SUSEのLinuxでは対応できなかったタイニーエッジにアクセスできる
SUSEはエッジのユースケースを3つのセグメントに分けて捉えている。まず、クラウド/サーバ側から最も近いセグメントが「ニアエッジ」で、通信基地局などがこれに当たる。次に、ユーザーの現場側で遠隔のクラウド/サーバなどと連携してさまざまなコンピューティングを行うのが「ファーエッジ」だ。PCをはじめ一定以上の性能を持つプロセッサを搭載するデバイスを用いてコンピューティングを行うファーエッジでも、より軽量のLinux OSである「SLE Micro」を用意するなどしている。
このファーエッジにつながる形で、いわゆるIoT(モノのインターネット)としてさまざまなデータを収集する役割を担うのが「タイニーエッジ」である。フェルドマン氏は「エッジ戦略を推進する上でタイニーエッジはとても重要だ。AI(人工知能)技術が進化する中で、今後はタイニーエッジを通して収集されるセンサーデータがより重要な役割を果たすようになるからだ」と語る。
このように、SUSEがタイニーエッジを重視しているにもかかわらず、ニアエッジやファーエッジのように自社で最適なソリューションを用意できていなかった。今回のLosantの買収は、SUSEがエッジ戦略を進める上で欠けていたパズルのピースを埋めるものになる。「SUSEのLinuxでは対応できなかったタイニーエッジにアクセスするケイパビリティがLosantのプラットフォームにあった」(フェルドマン氏)という。
Losantは、タイニーエッジのデバイスから得られるセンサーデータのやりとりに必要なさまざまなプロトコルに対応するプラットフォームである。基本的にはMQTTを用いてエッジデバイスとプラットフォームの間でデータのやりといを行う。通信プロトコルとしては、Wi-FiやBluetooth、ZigBee(IEEE 802.15.4)、LoRaWANなどの無線通信、OPC UAやModbusなどの産業用ネットワーク、ビル設備用ネットワークとして知られるBACnet、そしてシリアル通信に至るまで幅広く対応している。
フェルドマン氏は「Losantのプラットフォームそのものは、ファーエッジのシステムとしてファイアウオールの背後に置くホストサーバとして運用するイメージだ。仕組みそのものはクラウドネイティブであり、センサーデータの収集のみならず、データ分析や分析内容に基づくフィードバック動作なども行える。IoTプラットフォームとして完結したソリューションになっている」と説明する。
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