検索
連載

Arm初のCPUチップ「AGI CPU」が顧客とパートナーにもたらす悲喜こもごもArm最新動向報告(18)(2/4 ページ)

Armの最新動向について報告する本連載。今回は、2026年3月にArmが発表した、同社が初めてCPUチップそのものを製造/販売する「AGI CPU」を解説するとともに、顧客やパートナーにどのような影響を与えるのかを考察する。

Share
Tweet
LINE
Hatena

x86と比較して100億米ドルの節約に

 話を戻すと、実際にはこのAGI CPU+DIMM+VRMを載せたキャリアボード2枚を、1Uのデュアルノードレファレンスサーバに収められるとしており(図9)、30枚のこのブレードを収めた36kWのラックや、OCP(Open Compute Project)サーバのOpen Rack Wideにこのブレードを136枚(34×4)収めた200kWの構成が可能、と説明された(図10)。

図9
図9 標準は空冷で、1Uの高さのデュアルファン×5で300W×2を冷却可能としている。壮絶にうるさそうだが、データセンター内部だからこれは問題にならないだろう[クリックで拡大] 出所:Arm
図10
図10 ただし液冷の場合、有効コア数は168個に減る[クリックで拡大] 出所:Arm

 ここからが競合との比較で、x86と比較すると同じ36kW枠ならラック数が半分で済み、コア数は2倍になると説明(図11)。CPU自身の性能や効率でもx86プロセッサを大きく上回るとしている(図12)。これが顧客にどのようなメリットがあるのか? に関して言えば、1GW相当の規模のシステムを構築するのに、x86と比較して100億米ドルの節約になる、としている(図13)。

図11
図11 コア数からするとx86の方は128コアの製品なので、「Xeon 6756E」や「EPYC 9745」あたりかと思うのだが、決め手はない[クリックで拡大] 出所:Arm
図12
図12 こちらも比較対象が何なのかが不明なので何とも言い難い[クリックで拡大] 出所:Arm
図13
図13 要するにx86で1GWを消費するようなデータセンターシステムをAGI CPUで構築すると、必要となるCPUの数が大幅に減り、消費電力も下がるので、初期費用と(おそらく3年程度の)運用コストを合算すると100億米ドルの節約になるという意味だろう

 Armは2027年には「AGI CPU 2」と「Neoverse CSS V4」をリリース、その先には「AGI CPU 3」と「Neoverse CSS V5」をリリースするとしている(図14)。一般にNeoverseは1年半〜2年程度の間隔でリリースしており、「Neoverse CSS V3」は2024年2月のリリースだった

図14
図14 2027年のAGI CPU 2/Neoverse CSS V4はTSMCの2nmだろうが、その先はTSMCのA16だろうか? だとすると2028年はちょっと厳しく、2029年にずれ込むかもしれない[クリックで拡大] 出所:Arm
図15
図15 通常これは製造を始めた年を記すものだが、2013年なんてまだCortex-A15の頃の話である。意味が分からない 出所:Arm

 だから本来なら2025年8月〜2026年2月あたりにNeoverse CSS V4が出てもおかしくはないのだが、今回はAGI CPUの開発でちょっとずれ込んだのだろう。ただ既にNeoverse CSS V4の開発そのものはとっくにスタートしているはずなので、2027年に出てくることはほぼスケジュール通りという感じだ。

 ところで発表会でハース氏が示したAGI CPU、拡大するとなぜかシルクが“2013ARM”になっているのが謎である(図15)。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る