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ダメ半導体ベンチャーだったLattice SemiconductorのV字復活劇はPLDとともにプログラマブルロジック本紀(8)(2/3 ページ)

FPGAに代表されるプログラマブルロジックICの歴史をたどる本連載。第9回は、AlteraやXilinxと同時期に創業したLattice Semiconductorを取り上げる。当初は会社経営に問題がありチャプター11を申請する状況まで陥った同社だが、新たな経営者を得るとともに、PLDであるGALに事業を絞り込むことでV字復活を遂げる。

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ついにはチャプター11申請もGALへの絞り込みで黒字に

 この後、Sud博士はベンチャーキャピタルを回って資金調達を試みるも失敗。ついには製造を委託していたセイコーエプソンがLattice製品の製造を中止するに至り、取締役会はSud博士を解任。Winningstad氏を新たにCEOに招くものの間に合わず、1987年7月に日本の民事再生法に相当するチャプター11(米連邦破産法11条)を申請するに至る。

 申請時には850万米ドルの純損失を計上していたLatticeだが、Winningstad氏は保険会社に株式を売却するなどして750万米ドルを調達して支払いの一部に充てた他、人員削減や低コストの建物への移転、不要な出費の削減などを行って間接費を大幅に減らし、さらに債権者に債務の取りまとめを承認させ、88日間で再建手続きを終わらせる。

 無事に生き残ったLatticeであるが、当時同社は5つの製品ラインを抱えていた。そこでWinningstad氏は製品ラインをGALに絞ることにした。GALは、連載第2回でも説明したように、PAL(Programmable Array Logic)にEEPROMを組み合わせることで書き換え可能にしたものだ。

 MMIが販売していたPALの欠点をつぶした製品なのでMMIから訴えられるのは仕方ないのだろうが、それはともかくとしてGALにしてもPALにしてもロジック密度はそれほど高くなかった。ただこれを克服するためには開発に投資をするしかないのだが、当時Latticeはそうした体力を持ち合わせておらず、これはしばらく棚上げとなり、当面は既存のGAL製品でとにかく会社を立て直すということが最大の目標となった。

 加えて、Winningstad氏には自身に代わるCEOが必要だった。まだこの当時Winningstad氏は自身が創業したFPSの経営を行っており、一時的にLatticeを指揮していたものの、この体制をずっと続けることは不可能だと判断していたためだ。最終的にWinningstad氏は、Cyrus Tsui氏をまずは社長として招聘(しょうへい)し、次いでCEOとして自身の後任に据える。上海出身のTsui氏は1960年代に米国に移住し、南カリフォルニア大学を1968年に卒業後、Fairchild Semiconductorで働きながらスタンフォード大学で電気工学と経営学の修士号を取得した。1970年代後半にAMDに就職後、一度MMIに移籍して、再びAMDに戻っている。当初はWinningstad氏のオファーを断ったTsui氏だが、最終的に1989年にLatticeの社長に就任する。

 幸いなことに、この頃にはLatticeの経営状態は大分好転していた。売上高は1988年こそ1400万米ドルだったが1989年には2150万米ドルに達し、しかも220万米ドルの純利益も計上した(これはLatticeの最初の黒字である)。1990年も好調であり、これを受けてTsui氏は株式上場を行い、4000万米ドルの資金を調達した。Latticeはこの資金を新製品の開発に充てることにした。

 連載第2回の繰り返しになるが、1987年にAMDはMMIを買収している。そしてAMDは既にCMOSプロセスの開発に成功しており、なのでMMIを買収したAMDのプログラマブルデバイス部門はCMOSベースのPLDを提供することを発表していた。これは最終的にMACHファミリーのPLDとして出荷されることになる(図1)。

図1
図1 1992年のMACH Family Data Bookより。900〜3600ゲートの製品が提供された[クリックで拡大] 出所:AMD

 Latticeもこの動向をきちんと踏まえており、こうしたCMOSベースの高密度PLDを開発することで、売り上げと利益率の両方を大幅に引き上げられると考えた。幸いにも、従来のGAL製品も好調を維持しており、1990年には3890万米ドル、1991年には6450万米ドルの売り上げを記録。その1991年には1000万米ドルを超える純利益を確保することに成功している。

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