パナソニックグループの「PX」は6年目へ 情シスと調達、物流の革新の現在地は:製造マネジメント インタビュー(2/4 ページ)
パナソニックグループのプロジェクト「PX(パナソニックトランスフォーメーション)」は2026年度で6年目に入る。パナソニックHD 代表取締役 副社長執行役員 グループCIO グループCTROの玉置肇氏に今後の方向性を聞くとともに、PXの要となる情報システムと調達、物流の各担当者に取り組みの進捗状況を語ってもらった。
IT子会社3社を統合したパナソニックデジタルが発足
玉置氏によるPXの推進体制の紹介に続いて、PXの要となる情報システム、調達、物流の3分野の取り組みについて説明が行われた。
まず、情報システムの取り組みを説明したのが、PEX 執行役員 情報システム担当(兼)情報システム本部長の豊田彰朗氏である。豊田氏は「PX:7つの原則では、業務プロセスの変革、データ利活用、人材育成を重視している。これらのうち業務プロセスの変革の取り組みをけん引するプロセスオーナーの人数は、2026年3月時点で43人まで増えるなど全社に浸透している。中でもSCM(サプライチェーンマネジメント)は、調達、物流の担当と協力してDXを着実に進めているところだ」と語る。
SCM関連の情報システムとしては、パナソニック コネクト傘下のBlue Yonderのツール導入によって計画/実行系コア業務の標準化で成果が出ているという。また、基幹システムであるERPはSAPを導入しており、業界標準の徹底、内製スキルの強化、ガバナンスの強化を軸として、作業の効率化、入力ミス/手戻り削減、コスト効率化/働き方改革などで効果が出ているという。「業務システムとしての使いこなしは進んできたが、迅速な経営判断につなげるという観点ではまだやるべきことがあると感じている」(豊田氏)という。
間接業務の合理化では、海外地域で人事業務中心に手続きを統合し、従業員窓口を清流化した。北米の従業員2万2000人の接点をプラットフォーム統合した。この統合化により運用費用を200万米ドル以上削減したという、また、従業員からの人事問い合わせのうち2091時間をセルフサービス化し、人事担当者への電話問い合わせの数を37%削減した。
データ利活用では、情報システム部門からセルフ型とオーダー型の両方を用意して利活用しやすい環境を作っている。セルフ型の利用者は、2025年に従来比で倍増となる4万人まで増加した。また、蓄積したIoT(モノのインターネット)データを利用して、冷蔵庫の霜取り運転をAIで最適化する新機能の開発につなげるという成果も得られている。
人材育成では、2023年に導入した社内向けAIアシスタントサービス「PX-AI」が活用から成果創出フェーズに入りつつある。1日当たりパナソニックグループの社員約9000人が利用しており、1カ月当たり20万時間の効率化に寄与している。また、社内データ活用も可能な「PX-AI Plus」も43部門2558人に展開している。生成AIの業務利用に関する全社員アンケートでも、2024年度には「利用している」が「利用していない」よりも少なかったが、2025年度になって「利用している」の方が多くなり状況は逆転している。
人材育成を担う人材もPXアンバサダーが約60人、AIアンバサダーも中国国内の31社で70人が就任するなど着実に活動は拡大しているという。
情報システム自身の変革としては、「One Panasonic ITプロジェクト」を2024年度下期から立ち上げた。豊田氏は「各事業の競争力を強化すると同時に、グループのスケールを弱みではなく、競合他社の持たない強みに変える狙いがある。そのために重複をなくしスケールメリットが生きる運営としてインフラやセキュリティ、内部統制、そしてERPの整備を進めてきた。また、IT商流の刷新と投資の効率化でマネジメント効率も高めている。その上で、新たにIT子会社3社を統合したパナソニックデジタルを2026年4月に発足させる」と述べる。なお、パナソニックデジタルは、パナソニックグループ向けにとどまらず、外販活動も積極的に行う方針である。
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