隠すか見せるか、大事なデータの仕分け IVIが製造業PLMで目指すものとは:IVI公開シンポジウム2026-Spring-(2/2 ページ)
本稿では、「IVI公開シンポジウム2026-Spring-」において、IVIオピニオンとしてIVI 理事長で法政大学 教授の西岡靖之氏が行った講演「製造業PLMが日本を変える!〜日の丸デジタル部隊の進撃予告」の内容を紹介する。
新時代のリーンPLM技術仕様でデータの引き出しを整備
IVIでは、国内のPLM開発企業らとともに、製品ライフサイクル管理(PLM)を製造業全体に拡張した「製造業PLM」の共通モデルを作成し、「リーンPLM技術仕様」として2026年3月に公開した。現在、パブリックレビューを行っている。日本のモノづくりはリーン生産方式として海外で普及しており、リーンPLM技術仕様はリーン生産の概念をPLMの領域に拡張する具体的なモデルと手順を示したものだという。
IVIは2025年6月に製造業PLMのタスクフォースを設置し、約1年かけて議論してきた。2026年4月20〜24日にドイツのハノーバーで開催される「Hannover Messe 2026」で、リーンPLM技術仕様の詳細を展示する。国内では2026年中に100社の導入を目指す。
「国内のPLMベンダーやERPベンダー、ユーザー企業が毎月集まり、膨大な手持ちのデータを見せ合いながら、共通化、標準化を進めた。それぞれの企業が違う言葉で同じようなことを言っている。まずそれらの言葉合わせをし、粒度をそろえていった。そうしないとデータの“引き出し”が作れない。引き出しができれば、そこにデータを入れて比較できる」(西岡氏)
技術仕様では機能モデル、情報モデル、データモデルをそれぞれ体系化した。機能モデルは、業務で行う内容をその課題や目的、成果に対応できる形で記している。情報モデルは、機能モデルで定義した機能の単位が相互に連携するために必要となる、インプットまたはアウトプットの単位となる。そしてデータモデルは、情報モデルに対応する情報を、デジタル技術で表現するための形式およびルールを表している。
そして、これらの標準モデルを用いてエンジニアリングチェーンに関する企業のそれぞれの業務を記述し、連携プロファイルとして連携相手と共有するための手順を技術仕様で示している。この手順に従って自社の業務プロセスを記述した製造企業は、技術仕様に準拠するソフトウェアを用いて必要なデータを相互に連携させることが可能になる。全体としては、モノづくりの全体プロセスにおける情報連携を標準化し、設計と生産現場が双方向にデータをやりとりできる仕組みを目指している。
「生産技術起点で製造業全体をデジタル化していく。オープンとクローズのメリハリを付けて、新しい時代に即したリーンPLMを展開していきたい」(西岡氏)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
2026年はPLMの年になるか、BOPが埋めるモノづくりデジタルスレッドの最後のピース
PLMを再整備する動きが活発化している。ポイントになっているのが、今まで普及が進んでいなかったBOPの管理だ。これにより、設計から生産準備、生産までモノづくり工程を一元的にデジタル空間で再現できるようになり、“真の製造ライフサイクル管理”の実現に近づきつつある。
IVIが描くモノづくりの新たなグローバル標準の青写真とは
IVIは「IVI公開シンポジウム2024-Autumn-」を開催。本稿では、IVI 理事長の西岡靖之氏が、IVIオピニオンとして講演した「新IVIグローバル標準の青写真」の内容を紹介する。
AI時代の製造業DXはデータが先かプログラムが先か、重要になるPLMの標準化
IVIは「IVI公開シンポジウム2025-Autumn-」を開催。本稿では、IVI 理事長の西岡靖之氏が、IVIオピニオンとして講演した「ようやく見えたDXの本当の意味〜日本版インダストリー4.0の提案」の内容を紹介する。
現場努力を反映したCO2排出情報へ、IVIがデータ連携基盤で仲介するサービスを開始
IVIは、実証実験の成果をもとにトラストなデータ連携基盤を用いたカーボンフットプリントの仲介サービスを2025年4月から本格展開する。
グローバル連携の下で広がる製造業のデータ共有圏「Manufacturing-X」とは?
欧州を中心にデータ共有圏の動向や日本へのインパクトについて解説する本連載。第6回は、製造業のデータ共有圏であるManufacturing-Xを紹介する。
製造業DXに欠かせないPLMとBOM、しっかり説明できますか?
本連載では製造業DXの成否において重要な鍵を握るPLM/BOMを中心に、DXと従来型IT導入における違いや、DX時代のPLM/BOM導入はいかにあるべきかを考察していく。第1回は「PLM、BOMとは何か」をまずは説明する。


