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隠すか見せるか、大事なデータの仕分け IVIが製造業PLMで目指すものとはIVI公開シンポジウム2026-Spring-(1/2 ページ)

本稿では、「IVI公開シンポジウム2026-Spring-」において、IVIオピニオンとしてIVI 理事長で法政大学 教授の西岡靖之氏が行った講演「製造業PLMが日本を変える!〜日の丸デジタル部隊の進撃予告」の内容を紹介する。

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 Industrial Value Chain Initiative(IVI)は2026年3月12日、東京都内で「IVI公開シンポジウム2026-Spring-」を開催した。

 本稿では、IVIオピニオンとしてIVI 理事長で法政大学 教授の西岡靖之氏が行った講演「製造業PLMが日本を変える!〜日の丸デジタル部隊の進撃予告」の内容を紹介する。

“ソフトウェアの造りすぎは罪悪”、データが競争力の源泉

 IVIは、日本の製造業の高度化を目指し、企業の垣根を越えて人と人がつながる場として2015年6月に設立された。“つながる工場”や“ゆるやかな標準”をコンセプトとし、製造業のユーザーを主体に、ボトムアップなアプローチによる“つながるものづくり”のためのエコシステム構築などを目指している。

IVI 理事長の西岡靖之氏
IVI 理事長の西岡靖之氏

 まず西岡氏は、トヨタ自動車工業(現トヨタ自動車)の副社長を務め、トヨタ生産方式の体系化に貢献した大野耐一氏の「低成長期において造りすぎは罪悪である」という言葉を紹介。「モノづくりはお客さまの役に立って初めて価値が生まれる。単に手を動かしているだけではかえって悪になるという考え方だ。今でこそ理解できるが、当時としては新しい考え方だった」(西岡氏)。

 その上で西岡氏が紹介したのが、「ソフトウェアにおいて造りすぎは罪悪である」という考え方だ。

 システム開発には多大なコストがかかる。そこには、製造現場のたゆまない原価低減努力によって生まれた利益などが投じられる。西岡氏は、今、ソフトウェアの要素はアルゴリズム(プログラム)とデータに分かれていると指摘。プログラムは生成AIが作れるようになったことで、ソフトウェアのアルゴリズムの付加価値が下がり、“SaaSの死”という言葉も生まれている。

AIによってソフトウェアのアルゴリズム(プログラム)の作成が可能に
AIによってソフトウェアのアルゴリズム(プログラム)の作成が可能に[クリックで拡大]出所:IVI

「結果的にどこに競争優位が生まれるのかというと、それは“データ”になる。データは企業の知識、経験、価値の源泉だ。アルゴリズムは外部から購入でき、突き詰めれば限りなくコモディティ化が進む。しかし、データはそうはならない。“データを制するものがビジネスを制する”といわれるゆえんだ。DX(デジタルトランスフォーメーション)のDは今、デジタルではなく、データの意味である」(西岡氏)

 ただ、西岡氏はデータは交換可能なデータと、交換してはならない、秘匿が必要なデータに分かれると強調。データの公開や共有が潮流となっている中で、全てのデータを共有すれば競争や成長が存在しない世界になるとした。「これからの脅威はAIではない。なぜならAIは皆が使うのでそれ自体は差別化にはならない。AIに何をさせるか、つまりデータをどのように仕分けて、秘匿するかが価値の源泉になる」(西岡氏)。

デジタル化のゴールは共通化と差別化の仕分けに
デジタル化のゴールは共通化と差別化の仕分けに[クリックで拡大]出所:IVI

仕分けにはデータ活用基盤が必要になる[クリックで拡大]出所:IVI

 難しいのは秘匿するデータと、共有するデータをどのように切り分けるかだ。そこで西岡氏は、デジタル化のゴールとして、データの共通化と差別化の明示的な切り分けによる競争力の強化を掲げる。デジタル化を進展させれば、製造現場のデータはより幅広いデータが取得できるようになる。また、サプライチェーンではさまざまなデータの開示が求められる。

「そこで、取引先を増やして成長機会につながるデータを開示し、その一方で自社の強みを引き出し、差別化につながるデータを秘匿するデータ基盤を考えることが重要になる」(西岡氏)

 そのために必要なのが、データの入れ物(整理棚)の整備となる。

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