物流自動化は「入れて終わり」ではない、本社と現場の分断を越える“キーマン”とは:物流オートメーションの今(後編)(2/2 ページ)
物流の自動化はロボットを導入すればすぐに実現できるものなのだろうか。ラピュタロボティクスへのインタビュー後編では、導入企業が陥りがちな本社と現場の分断や、自動化成功の条件に迫る。CLO(最高物流責任者)義務化に向けて、現場のキーマンの存在がカギになる。
MONOist その「覚悟」を組織として持つためには、やはり組織体制が重要になりますか。
尾形氏 非常に関係がある。特に改善を引っ張る「キーマン」がどこにいるかが重要だ。
本社が最新のロボットを導入することを決めても、現場が「自分たちの仕事が奪われる」「面倒が増えるだけだ」とネガティブに捉えていると、絶対にうまくいかない。現場のリーダーが「自分たちがこの仕組みを使いこなしてやるんだ」という強い意志を持っていると、多少のトラブルも乗り越えて、最終的に生産性を上げることができる。
鈴木氏 その経営と現場の橋渡しをするのが、本来のCLO(Chief Logistics Officer、最高物流責任者)の役割だと考えている。経営の投資判断と、現場の運用責任を1つのストーリーでつなげられるリーダーがいるかどうか。そこが、自動化につまずく会社から脱却する大きなポイントになるだろう。
CLOが担うべきスコープは?
MONOist 2026年4月から、改正物流効率化法によってCLOの選任が義務化されます。「経営と現場の橋渡しがCLOの役割」という言葉もありましたが、どのような方がCLOに適任だと思いますか。
鈴木氏 CLOが担うべきスコープは、単なる配送ではなくサプライチェーン全体に及ぶ。そのためまずは、「どこが1番のボトルネックか」を俯瞰(ふかん)して把握できる人物がつくべきと考えている。
輸送が最大の課題である企業もあれば、保管や倉庫の作業効率が命である企業もある。当社は倉庫内の自動化に特化しているが、CLOと対話する際には、「単にロボットを入れましょう」という話にはならない。「倉庫のここを改善すれば、輸送効率を含めたサプライチェーン全体がこう良くなる」というより広い視点からの提案が必要になってくる。
尾形氏 CLOはサプライチェーン全体の最適化を目指す立場になるが、これまでの物流業務は「輸送は輸送」「倉庫は倉庫」とプロセスが分断されがちだった。
例えば、倉庫内の自動化を進め、出荷の順序をトラックの配送ルートに合わせることで、社会課題となっているトラックの待機時間は劇的に減る可能性が高い。こうした倉庫と配送をつなぐ提案に対しても、CLOという役職がより経営に近い目線でスピーディーな決断を下せるようになる。われわれベンダーにとっても大きなチャンスだと捉えている。
鈴木氏 サプライチェーンの最適化とは、結局のところ「データの連携」に尽きる。例えば、トラックが到着する1時間前に、倉庫内のロボットたちが指定の荷物をバースまで自動でそろえて待機しておく。そうした無駄のない世界を作るには、複数のロボットを効率よく連携させて動かすソフトウェアの力が不可欠になる。
物流の自動化は導入した瞬間から100点の稼働ができるわけではない。現場に合わせて調整し、育てていく必要がある。だからこそ、ベンダーであるわれわれがしっかりと「伴走」し、そこで蓄積されたノウハウを業界全体の標準にしていきたいと考えている。そうすれば、いずれわれわれのようなベンダーが手取り足取り教えなくても、現場が自律的にロボットを使いこなせる時代が来るはずだ。
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