主応力とミーゼス応力は何が違うのか 「応力」で考える強度設計の基本:若手エンジニアのための機械設計入門(14)(2/3 ページ)
3D CADが使えるからといって、必ずしも正しい設計ができるとは限らない。正しく設計するには、アナログ的な知識が不可欠だ。連載「若手エンジニアのための機械設計入門」では、入門者が押さえておくべき基礎知識を解説する。第14回は、強度設計の判断を支える「応力」の考え方について整理する。
最大主応力とは?
ある一点では、応力はさまざまな方向に作用しています。その中で、最も強く引っ張っている方向の応力が最大主応力です。
設計上の意味
割れや亀裂は、基本的に引張側から始まります。特に、
- 鋳物
- セラミックス
- 硬質樹脂
といった脆性材料では、最大主応力が重要な指標になります。
圧縮方向よりも引張側から破壊が始まる理由は、材料内部に存在する微小な欠陥やき裂が、引張応力によって開くためです。き裂が開くと先端に応力が集中し、繰り返し荷重によって少しずつ進展します。この進展が蓄積され、最終的に破断に至ります。一方、圧縮応力ではき裂は閉じる方向に働くため、進展は生じにくくなります。そのためCAE評価では、最大主応力に着目します。
最小主応力とは?
最大主応力が最大の引張応力であるのに対し、最も強く押している方向の応力が最小主応力です。通常はマイナスの値で示されます。
設計上の意味
圧縮は一見安全に見えますが、構造設計では重大な問題を引き起こす場合があります。代表的なのが座屈です。細長い部材に圧縮がかかると、材料強度に達していなくても不安定変形を起こします。また接触面では、局所的な圧縮応力によって圧壊が生じることもあります。
したがって、
- 細長い構造物
- 圧縮主体の荷重条件
- 接触解析
などでは、最小主応力を確認する必要があります。
ミーゼス応力とは?
実際の部品内部では、
- 引張
- 圧縮
- せん断
が同時に存在します。これらを「材料が降伏するか」という観点で1つにまとめた値が、ミーゼス応力(相当応力)です。
設計上の意味
鉄やアルミなどの延性材料では、降伏応力との比較はミーゼス応力で行うのが基本です。ミーゼス応力は方向を持たない大きさだけの値、いわゆるスカラ値です。この値によって、降伏するかどうかを評価します。
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