Rapidusの顧客獲得が進捗、60社以上と協議中で約10社にPDKをライセンスへ:組み込み開発ニュース
Rapidusが政府と民間企業32社からの第三者割当増資による総額約2676億円の資金調達を実施したと発表。併せて、顧客獲得の進捗状況を明らかにした。
Rapidusは2026年2月27日、東京都内で会見を開き、政府と民間企業32社からの第三者割当増資による総額約2676億円の資金調達を実施したと発表した。この資金を基に、2nm世代ロジック半導体の顧客獲得と2027年内の量産につなげたい考えだ。
今回の出資のうち、政府に関しては、2025年8月4日に改正された情報処理の促進に関する法律に基づき、経済産業省所管の情報処理推進機構(IPA)が次世代半導体の量産などに向けた金融支援として約1000億円を出資した。なお、経済産業省は、「経済産業大臣の指定を受けた指定高速情報処理用半導体の生産施設の設置並びに指定高速情報処理用半導体の試作及び需要の開拓その他の指定高速情報処理用半導体の生産を安定的に行うために必要な取組を最も適切に実施することができると認められる者」を選定するための公募を2025年9月3日〜10月2日に実施しており、同年11月21日にRapidusが事業者として選定されている。
一方、民間企業の出資は、2022年11月のRapidus設立時に出資した8社の追加出資を含めて32社が参加した。設立時出資の8社はキオクシア、ソニーグループ、ソフトバンク、デンソー、トヨタ自動車、NEC、NTT、三菱UFJ銀行で、新たに参加したのはアルゴグラフィックス、ウシオ電機、キヤノン、京セラ、JX金属、セイコーエプソン、大日本印刷、千葉銀行、長瀬産業、日本政策投資銀行、日本通運、日本IBM、能美防災、肥後銀行、富士通、富士フイルム、古河電気工業、北洋銀行、北陸銀行・北海道銀行(ほくほくフィナンシャルグループ)、北海道電力、ホンダ、みずほ銀行、三井住友銀行。
設立時の出資金額は三菱UFJ銀行の3億円を除いて残り7社が10億円だった。今回は各社の出資金額は明らかにしていない。2025年12月12日に経済産業省が公表したRapidusの投資計画/資金調達計画では、今回の民間企業の出資総額は約1300億円を想定していたが約376億円上振れした。1社当たりの平均出資額は約52億円となる。
「Rapidusのスピードへの期待と需要が広がってきている」
Rapidus 代表取締役社長兼CEOの小池淳義氏は、顧客獲得の進捗状況について「技術議論、概算見積もりなどのエンゲージメントが進んでいる。HPC(高性能コンピューティング)、AI(人工知能)半導体、エッジコンピューティングを中心に60社以上と協議中だ。そのうち10社程度に概算見積もりを提供しており、PDK(プロセスデザインキット)のライセンスに向けた準備を進めている」と説明する。
なお、協議中の60社以上は国内企業も含まれているものの大半が海外企業だという。10社程度の概算見積もり提供についても「国内は数社入っているが、大きいのは海外」(小池氏)としている。最も引き合いが強いのはHPCだが、AI半導体も強くなっており、エッジコンピューティングもロボティクス関連などで広がりを見せているという。
2nm世代ロジック半導体は2030年時点で需要に対し供給が約10〜30%不足する見込みで、Rapidusは顧客獲得の余地が大きいと見ている。小池氏は「2nm世代ロジック半導体に求められる要求と使用はものすごいスピードで変わっている。だからこそ、Rapidusが強みとする枚葉式による試作と改善のスピードへの期待と需要が広がってきている」と強調する。
なお、Rapidusは、約1000億円の政府出資に向けた投資計画/資金調達計画において、2025〜2031年度の累計で1兆円規模の民間出資、2027〜2031年度の累計で政府債務保証も活用した2兆円以上の民間融資の確保を目指すことを明らかにしている。「今回の民間出資は日本IBMを除き国内企業だったが、1兆円規模の民間出資や2兆円以上の民間融資は国内外合わせての金額になるだろう。1兆円規模の民間出資はIPO(新規株式公開)を含めた想定になっている」(Rapidus CFOの村上敦子氏)としている。
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