急成長中の中国ヒューマノイド大手AgiBotの技術戦略:ロボットイベントレポート(3/3 ページ)
菱洋エレクトロとリョーサンがセミナー「“ロボットが自分で学ぶ未来を体験” 〜実機と仮想環境が融合する次世代のロボット技術〜」を開催。本稿では、同セミナーに登壇した中国のヒューマノイド企業AgiBotで東アジア事業本部長を務める張赫氏の講演をレポートする。
実機を用いた強化学習で精密作業の成功率99.9%を実現
人間の動作から学ぶ模倣学習だけではヒューマノイドの生産現場への導入は難しい。そこで、AgiBotでは模倣学習だけではなく、強化学習や世界モデルを組み合わせる取り組みも行っている。具体例としてUSB端子への差し込みやメモリの抜き差し、家具の組み立てやインストルメントパネルの取り付けといった精密作業において99.9%の成功率を実現しているという。
張氏はセミヒューマノイドの「G2」が半導体工場で稼働する様子も紹介した。専用機器からワークを取り出して、所定の位置にはめていく。ピンに挿入したりはめこんだりするところは強化学習で実現しており、1mm未満の精度を実現できているという。
張氏は講演の最後に「われわれは中国最大規模の資金調達ができていて、ヒューマノイドのハードウェアに加え、大脳や小脳に当たるソフトウェアの全てを開発できている。VLAモデルを開発する能力も持っている。近い将来、ヒューマノイドは人間と全く同じ作業ができるようになるのではないか」と述べている。
ノウハウをパートナーに提供し、エコシステムを構築する戦略
講演終了後、張氏に簡単に話を伺うことができた。AgiBotは間もなく日本オフィスを開設し、ショールームなども設ける予定だ。では今後、日本国内でも大々的にAgiBotのロゴを付けたヒューマノイドロボットを売り込むのかというと、意外なことに「そうではない」という。むしろ、「各国のブランドでロボットを展開したい」とのことだった。
すなわちOEM、あるいは企画や設計もAgiBotが引き受けるODMによって同社はロボットを製造し、それを各国のパートナーが自社のブランドで販売/展開するほうが望ましいと考えているのだ。張氏は「(VLAとヒューマノイドを活用する)この業界は生まれたばかりの赤ちゃんのようなもの。一社一社の力は弱い。各社が協力して大きくしていかないと、うまくいかない」と強調する。そのためには「スピード感が重要。競争力に直結する」(同氏)とのことだった。
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