可能性の中国勢/信頼性の日本勢〜ヒューマノイドの現在地@2025国際ロボット展:2025国際ロボット展レポート(前編)(2/4 ページ)
「2025国際ロボット展(iREX2025)」では、ヒューマノイドロボットがこれまでになく注目を集めた。Unitreeをはじめとする中国勢を中心に、多様なヒューマノイドやセミヒューマノイドが展示され、開発基盤やデータ収集用途としての活用も広がりを見せている。本稿では前編として、海外勢のヒューマノイド動向を会場横断で整理する。
ヒューマノイド“人材派遣”目指すGMOグループ
G1は東ホールでも各所に登場した。GMO AI&ロボティクス商事を中心に「ロボット派遣」ビジネスを掲げるGMOインターネットグループのブースでも踊りを披露して人気を集めていた。
GMOのブースは店舗、カフェ、倉庫を模した空間で、ヒューマノイドと共存する未来を紹介するというコンセプトだ。特にカフェスペースでのドリンク運びは会期最終日(2025年12月6日:土曜日)に多く来場した子どもたちにも大人気だった。
ステージ上でもUnitree G1のダンスのほか、激しいダンス動作が最初から搭載されているEngineAIの「PM01」、そして全高170cm超えのUBTECH「Walker E」など各社のロボットを紹介。「ニーズに応じて選択できる」としていた。
GMOはG1を使用した学生向けインターンも募集して人材育成を行っている。2026年を「ヒューマノイド元年」と位置付けているので、今後はさらに動きを見せるものと考えられる。
また最近はフィジカルAI開発に力を入れているスタートアップのクフウシャのブースでも、G1を使ったジェスチャートラックのデモを紹介していた。
UnitreeのG1が発表されたのは2024年5月、横浜で開催された国際会議「ICRA2024」の場だった。
その後出荷量を増やし、今も毎日のように世界中の研究室や企業からいろいろな研究成果の実装が動画で流れてくる。わずか1年半強で、これほどまでに広がったことに驚くほかない。Unitreeは2025年半ばに評価額120億元(約2500億円)とされており、間もなく上場する予定だ。
Unitree以外も中国製ヒューマノイドが続々
Unitree G1以外にもいろいろなヒューマノイドが見られたのは「国際ロボット展」ならではである。
ヒューマノイドとデジタルツインのスタートアップであるトロンは、中国LimX Dynamicsの代理店でもある。今回も同社の「Oli」と二足歩行の「TRON1」を出展してアピールしていた。同社は製造業向けバーチャルファクトリーの応用先の1つとして、ヒューマノイドの活用を考えているという。
中国DOBOTの「ATOM」も、代理店のアスカのブースで見ることができた。「ATOM」はVRヘッドセットを使ったデータ収集の実演と、その結果を使った、物体認識と色認識を組み合わせた仕分け作業を実施していた。
評価額3000億円以上と言われ、日本法人設立も準備中の中国AgiBotは、フルサイズのヒューマノイドであるAgiBot「A2」、そして小型の「X2」、そしてセミヒューマノイドの新型「G2」を披露した。
同社は既に5000台以上のヒューマノイドを中国内外へ出荷しており、数十社あるといわれる中国のヒューマノイドスタートアップのなかでも最も注目すべき企業の1つだ。多くの人がブースでロボットの踊りを見ながらさまざまな質問をしていた。なおAgiBotのロボットはダイドーでも扱っており、そちらでもデモが行われていた。
安価で知られる中国Booster Roboticsの小型ヒューマノイドロボット「T1」と、さらに一回り小さい「K1」も実機デモを行っていた。ROS2ベースで開発できるタフなヒューマノイドロボットで、日本国内では200万円台半ばでスイッチサイエンスから販売される予定だ。同社サイトには既に専用ページがある。
次世代型協働ロボットで知られるドイツのNEURA Roboticsのヒューマノイドロボットも代理店の日栄機工との共同ブースに登場した。ただし静展示だった。
NEURAは、2025年にデータ収集センター「NEURA Gym」やデータ基盤「Neuraverse」も作ってフィジカルAIに取り組んでいる。なお当初は2025国際ロボット展で開催された「ヒューマノイドロボットフォーラム」で同社 CEOが講演予定だったが、残念ながら中止となった。
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