SCMの勝敗を分けるのは「データ量」、パナソニック コネクトが描く先行者利益:製造マネジメント インタビュー(2/2 ページ)
パナソニック コネクトは、「Panasonic Group IR Day 2025」における発表をフォローする合同取材に応じ、SCM(サプライチェーンマネジメント)ソフトウェアの動向についての説明や、2026年3月にCEOを退任するパナソニック コネクト プレジデントの樋口泰行氏の今までの振り返りなどを行った。
樋口氏「離陸しきった姿を見届けられない心残りも」
合同取材では、2026年3月に退任を発表した樋口氏にこれまでの経緯を振り返る質問なども相次いだ。
樋口氏は、もともと松下電器産業に12年間務めた後、アップルやコンパック、日本HP、日本マイクロソフトなどを歴任し、2017年4月にパナソニック コネクトの前身であるパナソニック コネクティッドソリューションズ社の社長に就任した。2025年度で9年目となっている。
なぜこのタイミングの退任になったのかという質問に対しては「役員になって数年で交代する人が多い中、既に9年務めており、これほど長い人はいない。今年68歳で次の世代へのトランジションが重要だと考えている」と樋口氏は考えを述べる。
在任した9年間について「製品単品の販売で勝負をするパナソニックグループの在り方を変革することを重視して取り組んできた。リカーリング型ビジネスで参入障壁の高いエリアで勝負するという考えのもと、ブルーヨンダーの他、現場プロセスソリューションなどを展開してきた。成功させないとダメだと強い思いを持って取り組んできた。時間はかかったが、ある程度収益改善にめどをつけることができた。ただ、最後まで離陸しきったところを見届けられないという点は心残りに思う部分もある」と樋口氏は述べる。
これまでの取り組みで思い通りにいかなかったことについては「大きなものとしてコロナ禍がある。コロナ禍で2〜3年も大きな影響を受けた。サプライチェーンが大幅に乱れ、元に戻るまでに長い時間が必要となった他、パナソニック コネクトの主力事業の1つであるアビオニクスは一時的に本当にビジネスがなくなった。リカーリング型ビジネスの象徴的なビジネスだったのに、それどころではなくなっていた。そういう苦しい時期が約3年あった」と樋口氏は振り返る。
ただ一方で、組織改革や文化改革は積極的に進めた。「長年染みついた商習慣が岩盤のように変わらないところもあったが、腕ずくでカルチャー改革やマインド改革を進めた。カルチャーが変わらないと業務改革はできない。最初は大変だったが変わり始めると非常に順調に進み始めた。変わることがDNAとなり自律的にサイクルが回るようになった。その流れでポートフォリオ変革も進めることができた。5つの工場を閉め、事業も10以上終了した。ポートフォリオ改革は9割、カルチャー改革は7〜8割くらいは、進められたのではないかと考えている」(樋口氏)。
「パナソニックグループに戻ってよかったのか」という質問に対し、樋口氏は「パナソニックグループに貢献しようと思って戻ってきた。貢献度合いはどうだったかは自分では分からないが、貢献できたのであればうれしいことだ。なかなか変わらなかった会社が『違って見える』と言われたこともあるが、そういう変革をチームとやり遂げられていたとしたら、それは幸せだったといえる」と考えを述べている。
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