ArmベースCPUと最大45TOPSのNPUを搭載する小型AIモジュールを発表:組み込み開発ニュース
congatecは、Qualcomm Dragonwing「IQ-X」プロセッサを初搭載した、COM-HPC Miniモジュール「conga-HPC/mIQ-X」を発表した。高性能CPUと最大45TOPSのNPUを備え、ローカル機械学習などのエッジAI処理に対応する。
congatec(コンガテック)は2025年11月25日(現地時間)、Qualcomm Dragonwing「IQ-X」プロセッサを初めて搭載した、COM-HPC Miniモジュール「conga-HPC/mIQ-X」を発表した。
ArmベースCPUであるOryonを搭載する同モジュールは、従来x86ベースでしか実行できなかったシングルスレッド、マルチスレッドの演算力を高効率で提供する。また、Qualcomm Hexagonプロセッサ搭載のNPUが備える最大45TOPSのAI(人工知能)性能により、ローカル機械学習や大規模言語モデル(LLM)のエッジ処理にも対応する。
モジュールサイズは95×70mmと小型で、じか付けのLPDDR5X RAMと−40〜+85℃の産業用温度範囲に対応する堅牢設計が特徴だ。用途はビデオ監視やエッジ分析、ロボット制御などAIアクセラレーションを必要とするアプリケーションを想定しており、ArmアーキテクチャをWindows上で活用したい開発者にも適している。
ソフトウェアの統合の簡素化と、UEFI互換ファームウェアにより開発期間が短縮される。SWaP(サイズ、重量、電力)の最適化が求められる組み込み設計への適用で、高い性能を発揮する。
主な仕様として、最大12個のOryonコア、Hexagon NPU、DSP、Qualcomm Spectra ISP、Adreno GPUを搭載し、映像や画像、音声処理を高効率で実行する。インタフェースは、2.5Gbイーサネット×2、PCIe Gen3/Gen4を最大16レーン、USB4×2、USB3.2×2、USB2.0×8を備える。ディスプレイは2つのDDIとeDPに対応し、MIPI CSI経由で最大4台のカメラを接続できる。さらにI2C×2、UART×2、GPIO×12を備え、内蔵のTPM 2.0がセキュリティの信頼性を確保する。
同社は市場投入までの時間短縮のため、冷却ソリューションや評価ボード、設計サポートを提供する。OSやIoT(モノのインターネット)機能を事前検証し、プリインストールしたカスタマイズ仕様のaReady.COMも用意している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
コンガテックがx86向けハイパーバイザーをアピール、リアルタイムLinuxで倒立制御
ドイツのコンガテックは、「EdgeTech+ 2025」において、同社傘下のReal-Time Systemsが手掛けるハイパーバイザー「RTS Hyperviser」のデモ展示を行った。
Core Ultraプロセッサ搭載の組み込みモジュールを発表
congatec(コンガテック)は、インテルCore Ultraプロセッサ搭載のCOM Express Compact Type 6モジュール「conga-TC700」をリリースする。
STマイクロとクアルコム初の協業製品、IoT機器の設計を簡略化する無線モジュール
STマイクロエレクトロニクスは、Qualcomm Technologiesとの協業による初製品として「STM32」対応ワイヤレスIoTモジュール「ST67W611M」を発表した。無線通信に対応し、産業用および民生用IoT機器向けアプリケーション設計を簡略化する。
クアルコムが国内IoT事業を強化、PFNグループとAWLがISVパートナーに
クアルコムジャパンが日本国内におけるIoT事業戦略について説明。エコシステムを構成するISVパートナーとしてPreferred RoboticsとAWLが、EDCパートナーとしてNSWとサイレックス・テクノロジーが加わり、「Qualcomm Aware Platform」のPoCを大日本印刷とマクニカが行うことを明らかにした。
中国メーカーが復活しx86は徐々に衰退――COMPUTEX TAIPEI 2024組み込みレポート
2024年6月4〜7日の4日間、「COMPUTEX TAIPEI 2024」が開催された。会期を前年の5日から4日に短縮したものの、来場者は大幅に増加し大盛況となった。生成AIに沸いた今回のCOMPUTEXだが、本稿ではいまいちその恩恵に預かれていない感もある組み込み関連の展示についてレポートする。
クアルコムのSoCに独自LLMを組み込み、エッジ生成AIでIoT事業の成長を加速
サンダーソフトジャパンは、中国サンダーソフトと米国クアルコムの両社が合弁でSOM製品を中心としたIoT向けプラットフォームを展開しているサンダーコムの事業について説明した。
