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“ADASの民主化”こそが重要、ボッシュが立駐特化の駐車支援システムなど披露安全システム(2/3 ページ)

ボッシュ日本法人は、ADASの技術体験イベントを開催。公道でのレベル2自動運転や、隙間3cmに駐車する立体駐車場システムなどを披露した。

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日本チームが開発を先導、隙間3cmのパレットに駐車

 2つ目は、2025年6月に発表された、機械式立体駐車場(パレット)特化型の駐車支援システム「Pallet Garage Assist(パレットガレージアシスト)」だ。

Pallet Garage Assistによる駐車の様子[クリックで拡大]出所:ボッシュ

 日本の都市部に多いパレット式駐車場は、車幅に対する駐車スペースの余裕が数cmしかないケースも多く、入庫作業には熟練した技術が必要でありドライバーへの精神的負荷も大きい。

 開発車両では、車両の前後とドアミラーの計4カ所に設置した近距離カメラと、左右合わせて車両側面の下部に搭載した12個の超音波センサーを用いてPallet Garage Assistを実演した(量産化時は近距離カメラ1個で機能を実現する予定)。従来の駐車支援システムが主に「白線」を頼りにするのに対し、本システムはCNN(畳み込みニューラルネットワーク)を用いたAI(人工知能)画像認識により、パレット特有の段差や構造物そのものを物理的な境界として識別。これにより、「白線が摩耗していたり存在しないパレットであっても、正確な経路計画と車両制御が可能になる」(デモンストレーションの説明員)という。

 駐車場所と自己位置の検知
駐車場所と自己位置の検知[クリックで拡大]出所:ボッシュ

 デモンストレーションでは、車両とパレット枠の隙間が左右それぞれわずか30mmという、初見のドライバーが駐車するには困難であるような極小スペースへの入庫を実演した。ドライバーが車載画面で駐車位置を選択すると、何度も細かく切り返しを行いながら、わずか1〜2分程度でパレットの中央へ駐車を完了させた。

 本システムは車内からの操作に加え、車外からのリモート操作にも対応する。スマートフォンやタブレット端末のアプリから車載端末を経由して、荷物を降ろした後などドライバーが降車した無人状態で入出庫を行うことが可能だ。その場合は、端末上で一時停止や駐車キャンセルなどの指示を出せる仕様としている。

 現在、国内の複数の自動車メーカーと実装に向けた協議およびデモ評価を継続しており、数年以内の量産化を目指しているという。

Euro NCAP 2026を見据えた「車室内」の全方位監視

 3つ目は、車室内の乗員検知ステムである「Interior Sensing Solutions」だ。欧州の自動車安全テストEuro NCAPでは、2026年以降のプロトコルにおいて、従来の衝突安全性に加え、車内や外界の認識技術を中心とした先進安全技術の評価比重が高まる予定である。ボッシュは、この新たな安全基準への適合を見据え、車室内モニタリング技術(インキャビンセンシング)を進化させている。

 ソリューションの核となるボッシュのセンサーセットでは、画像認識用のカメラと生体検知用のミリ波レーダーを用いる。広角の乗員モニタリングカメラ1基、ドライバーモニタリングカメラ1基、天井付近に設置するミリ波レーダー1基などを組み合わせる。なお、デモンストレーションでは広角カメラ1基のみで車内を監視する実演も行った。

 機能面では、視線や開口(あくび)、瞬間的な居眠りを検知するなど、車両の運転操作に影響する行動を高精度に検知する。また、2Dのカメラ映像から、乗員の骨格位置を3Dで推論する。例えば助手席乗員がダッシュボードに足を乗せているような危険な姿勢を検知することが可能である。

 Interior Sensing Solutionsによる車室内の監視
Interior Sensing Solutionsによる車室内の監視[クリックで拡大]出所:ボッシュ

 また、2026年以降のEuro NCAPで新たに評価対象となる「車内への子供置き去り防止機能」は、ミリ波レーダーによって対応する。カメラの死角となる後部座席の足元や、毛布の下、チャイルドシートの陰に子供が隠れている場合であっても、ミリ波レーダーが呼吸に伴う微細な胸郭の動きを捉えることで、確実な検知を可能とした。これらの関連製品は既に市場展開が始まっており、今後の法規制強化に伴い採用を加速させたい方針だ。

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