すんだもんのアバターラジオだと? SDV体験シミュレーション環境「MESH」を披露:EdgeTech+ 2025
CRI・ミドルウェアは、「EdgeTech+ 2025」において、Open SDV InitiativeのビークルAPIを基に開発したSDV体験シミュレーション環境「MESH」を披露した。
CRI・ミドルウェアは、「EdgeTech+ 2025」(2025年11月19〜21日、パシフィコ横浜)のTOPPERSブースにおいて、Open SDV Initiative(OSDVI)のビークルAPIを基に開発したSDV(ソフトウェアデファインドビークル)体験シミュレーション環境「MESH」を披露した。
2024年6月に設立されたOSDVIは、SDV上でさまざまなモビリティサービスを開発できるように、CANなどで出力される車両の制御信号とモビリティサービスのアプリケーションの連携を図るためのビークルAPIを策定している。MESHは、車両の走る/曲がる/止まるなどの制御システムの試験を行う自動車シミュレーターとOSDVIのビークルAPIを組み合わせて、モビリティサービスのアプリケーション開発を簡単に行えるようにしたシミュレーション環境となる。
展示では、マックシステムズの自動車シミュレーターにCRI・ミドルウェアが開発したMESHの基盤ハードウェアとなる「MESH STB」を接続して、ディスプレイメーターのデザインの入れ替えや、車両の走行状況に合わせてずんだもん(ずんだ餅をモチーフにした東北地方のマスコットキャラクター)のラジオが流れる「アバターラジオ」、駐車中にドラレコカメラを使ってAIキャラクターとあっち向けホイを楽しめるゲームなど、さまざまなモビリティサービスを体験できるデモンストレーションを行った。なお、MESH STBは、Raspberry Piをベースに自動車シミュレーターからの情報を取得できるようにCANインタフェースを追加しており、車載向けAndroidであるAndroid Automotiveが組み込まれている。
MESHは、アプリケーションとなるSDV向けコンテンツを簡易に開発できる仕組みも用意している。例えば、アバターラジオのシナリオやイベントの作成は、Microsoftの「PowerPoint」のフォームで記述してから、「MESHエクスポーター」を介してデータを保存したUSBメモリをMESH STBのUSBポートに接続するだけで、MESH上での動作を確認できるようになっている。
MESHの外部提供については、今後開発を進める中で検討する方針である。「ビークルAPIをMESHという分かりやすい形に仕立てたことでかなり引き合いが増えている。できるだけ早く多くの人に利用してもらえるようにしたい」(CRI・ミドルウェアの説明員)という。
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