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レアアースを使わず透明性と耐久性を実現したセラミックス材料:材料技術
第一稀元素化学工業は、セラミックスの材料として、カルシア安定化ジルコニア材料「HSY-0774」を開発した。産出国が限定されるレアアースを使わず、自社のサプライチェーンでジルコニウム原料を調達できるため、安定した供給が期待される。
第一稀元素化学工業は2025年10月21日、セラミックスの材料として、カルシア(酸化カルシウム)安定化ジルコニア材料「HSY-0774」を開発したと発表した。ジルコニアの粉末「DURAZR-S」シリーズの新規開発品となる。
安定化剤として使用するカルシアは、容易に入手できるが、一般的なセラミックスの高い焼結温度では機能を維持できず、この用途では活用が難しかった。HSY-0774は、同社独自の技術により、通常より約200℃低い温度での低温焼結が行える。
また、ジルコニアセラミックスが不向きとされていた100℃程度の温度でも、亀裂などが発生しにくい水熱劣化耐性を備える。さらに、熱間等方圧加圧法を用いた焼結により、耐久性を維持しつつ、高い透明性を発現できる。
一般的にセラミックス製品の材料となるジルコニア粉末の安定化剤には、イットリアなどのレアアースが使用されている。HSY-0774は、産出国が限定されるレアアースを使わず、自社のサプライチェーンでジルコニウム原料を調達できるため、安定した供給が期待される。
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