AWSは日本の製造業DXに向けて“伴に走る” 設計革新やDevOps、生成AI活用を実現:製造ITニュース(2/2 ページ)
アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)は、報道陣向けのオンライン勉強会を開催し、製造業界におけるAWSの取り組みについて説明した。
AWSは技術を活用した組織改革支援にも取り組む
DXを推進する際には、従来までオンプレミスで運用してきたシステムをただクラウド上に移行するだけでは新たな価値を生み出せていない。企業がクラウド技術の持つアジリティーや最新技術をすぐに試すことができるという特徴を最大限に生かすためには、それに適した組織と文化の確立が必要である。AWSジャパンでは、必要な組織や文化を手に入れなければ“真のデジタル変革”は進まないという考えの下、技術を活用した組織改革支援を推進している。
「個社向けに開催した生成AIユースケース創出ブートキャンプでは、AWSのサービスを組み合わせたサンプルアセットを持参し、ユーザーに体験してもらっている。すぐに動かすことができるものを実際に触れてもらうことで、これなら自社でも活用できそうと判断した企業が実際にサービスを導入するケースが増えている。AWSはスモールスタートが容易なので、中小企業でもAI活用に取り組みやすく、親和性が高い部分が多いと思っている」(岡本氏)
勉強会では、さまざまな分野でAWSサービスを活用した実際の業務/組織変革について説明した。設計領域分野では、三菱重工業の蒸気タービン設計部門の事例を紹介した。AWSの仮想サーバサービス「Amazon EC2」を活用することで、流体解析の計算速度がオンプレミス時の状態と比較して最大6倍まで向上し、従来と比較して5分の1のコア数で同等の計算速度を達成。これにより、解析ソフトのライセンス数の削減など全体的なコストメリットが生まれている。
組織変革の取り組みとしては、2019年にパナソニックグループから独立し監視カメラ事業を展開しているi-PROの事例を紹介した。世界基準のベストプラクティスを達成するために、社内の文化変革に挑戦。現場の自主性の重視し、顧客の利用品質を高めて要望に素早く対応することを目指して開発と運用のプロセスを一体化するDevOps(デブオプス)を回すことができるチーム作りに取り組んだ。自動化を実現するためにクラウド技術を積極的に取り入れた結果、大幅な工程品質の改善ができるようになり、開発効率も2.5倍に向上。エンジニアのモチベーション上昇にもつながったという。
生成AIの活用事例としては、長い歴史を持つ繊維商社であるタキヒヨーの取り組みを紹介した。コロナ禍のタイミングで社員のコミュニケーションが断絶してしまい、若手社員とベテラン社員の意思疎通がうまくいかない上に技能継承も進まないなど、業務の属人化に関する問題が発生し、苦労をしたという。このことから、個人の依存度を減らしていつでも一定の成果が出せる仕組みを確立するために生成AIに着目した。
テキストや画像生成などの生成AIモデルをAPI経由で利用できるAWSのサービス「Amazon Bedrock」を活用し、既存業務にフィットした生成AIを全社に展開した。これにより、4つの部門で延べ月間450時間越えの工数削減に成功した。特にデザイナーのグラフィックス製作時間が大幅に削減し、定量的な実績を上げている。
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