業界初、新たなコーティング技術ブランドを立ち上げ:材料技術
スタンレー電気は、業界で初めて新開発のUV硬化塗料と熱風を使わずUV光源で硬化する製造技術を活用した新たなコーティング技術ブランド「ASTUV(アスターヴ)」を立ち上げた。
スタンレー電気は2025年10月22日、UV(紫外線)光源による硬化技術を活用した新コーティングブランド「ASTUV(アスターヴ)」を発表した。「業界で初めて」(同社)、熱風を使わずにUV硬化塗料を硬化させる製造技術を採用している。ヘッドランプ製造プロセスのうちASTUVを導入した工程では、消費電力を従来比で70%以上削減できる。
ASTUVは、新開発の塗料と、照度/距離/時間を最適化した独自のUV照射技術を組み合わせたものだ。防曇技術を皮切りに、ハードコート、加飾技術へと展開し、ASTUVの適用範囲を広げていく。
これまではヘッドランプ内部の塗料に含まれるアニオン性界面活性剤が結露で流れ出し、乾燥して固まってしまい、白い跡(垂跡)が発生することがあった。ASTUVでは、塗装にアニオン性界面活性剤を使わないため、水滴の影響を受けず垂跡が発生しない。また水に強いUV硬化膜で、ヘッドランプの曇りを長期間防げる。
防曇コーティング:従来の工程では、発生した水滴により光が散乱して曇りが発生する。ASTUVでは、コーティング面が親水性であるため水滴ができる前に水膜を形成、水滴を無くし曇りを防ぐ。[クリックで拡大]出所:スタンレー電気
同社は、自動車ランプの防曇コーティング工程で、電力消費が最も大きい熱乾燥工程に着目した。有機溶剤を含まないUV硬化塗料を採用し、カバーレンズを塗装後すぐにUV硬化させる方式に変更した。これにより、溶剤を揮発させる熱風乾燥工程が不要となり、消費電力を大幅に削減できる。
同技術に関して既に自動車メーカーへ提案を始めており、2030年までに全拠点で自動車用ランプの表面処理プロセスをASTUVへ変更することを目標とする。また、ASTUVの技術をさらにブラッシュアップすることで、自動車用ランプの表面処理工程だけではなく他の工程でも電力削減を進めていきたいとしている。
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