800VDCに対応する次世代AIファクトリーの構築を推進、NVIDIA「Vera Rubin」向け:人工知能ニュース
NVIDIAは「OCP Global Summit」において、ギガワット規模のAIファクトリー構想を示した。参画するパートナー各社も、高効率な800VDCへの移行に向けたさまざまなシステムや製品サポートを発表している。
NVIDIAは2025年10月13日、次世代AI(人工知能)データセンターに関する最新技術が集結する「OCP Global Summit」において、ギガワット規模のAIファクトリー構想を示した。
同サミットでは、50社超のMGXパートナーが「NVIDIA Vera Rubin NVL144」プラットフォームに向けて準備を進めており、以下に挙げる20社超が800VDCデータセンターを支えるシリコン、電源システムを展示した。
- シリコンプロバイダー:Analog Devices(ADI)、AOS、EPC、Infineon、Innoscience、MPS、Navitas、onsemi、Power Integrations、ルネサス エレクトロニクス、Richtek、ローム、STMicroelectronics、Texas Instruments
- 電源システムコンポーネントプロバイダー:BizLink、Delta、Flex、GE Vernova、Lead Wealth、LITEON、Megmeet
- データセンター電源システムプロバイダー:ABB、Eaton、GE Vernova、Heron Power、日立エナジー、三菱電機、Schneider Electric、Siemens、Vertiv
展示の一例として、Foxconnは800VDC向けの40MWデータセンター計画を紹介し、Vertivは優れたコスト効率、エネルギー効率を誇る800VDC MGXレファレンスアーキテクチャを発表した。HPEはラックスケールシステム「NVIDIA Kyber」に加え、「NVIDIA Spectrum-XGS」イーサネット技術の製品サポートを示した。
Vera Rubin NVL144は、100%液冷のモジュラー設計を採用し、中央のプリント基板ミッドプレーンで配線を簡素化する。800Gbpsの超高速ネットワークインタフェースカード「NVIDIA ConnectX-9」や、大規模なコンテキスト推論が可能な「NVIDIA Rubin CPX」用の拡張ベイも備える。さらに、MGX準拠のオープン標準として提供するため、パートナー各社は性能が向上したコンピュートトレイとラック設計を組み合わせて、迅速に拡張できる。
Kyberについては、OCPエコシステムが「NVIDIA Oberon」からの移行を進めており、2027年までに576基の「NVIDIA Rubin Ultra GPU」を搭載する高密度プラットフォームが構築される。
Kyberはコンピュートブレードの垂直回転により密度を高めており、シャーシ当たり最大18枚を収容できる。また、「NVLink」スイッチブレードを配線なしで背面に統合でき、シームレスなネットワーク拡張が可能だ。800VDCに移行すると、同じ銅線で150%超の電力を伝送できるようになり、1つのラックへの電力供給に使用していた200kgの銅バスバーが不要となるため、コスト低減に寄与する。
NVIDIAはOCP標準規格の作成において、AIシステム「GB200 NVL72」の電気機械設計の主要な部分を提供している。そのため、「GB300 NVL72」をはじめ、Vera Rubin NVL144、NVL144 CPX、Rubin CPXなど最新の高性能システムに同一フットプリントでアップグレードできる。
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