削り出し加工の生産性が最大10倍に、スギノマシンの次世代マシニングシステム:工作機械
スギノマシンは、削り出し加工の生産性を従来比10倍に高めるスマート次世代マシニングシステム「X10」を開発した。多品種少量生産の自動化を可能にし、深刻化する製造現場の人手不足に対応する。
スギノマシンは2025年10月8日、削り出し加工の生産性を最大10倍(同社推定値)に高めるスマート次世代マシニングシステム「X10(エックステン)」を発表した。同月から受注を開始する。多品種少量生産の自動化を可能にし、深刻化する製造現場の人手不足に対応する。
X10は、同社独自の加工技術「爆速切削」に適したマシニングセンタ「SC-V40a」とリモート操作が可能な工程管理ソフトウェア、最大100本の工具を収容するツールマガジン、直行軸制御で最大25個のワーク素材を自動搬送する装置を統合している。
ワーク素材にはブロック材(6F材)を採用し、治具を共通化することで交換、調整作業をなくした。初加工品について、装置の動きや加工プログラムを実機を使わずにシミュレーションで確認できるため、多品種少量生産の効率向上に寄与する。
また、CAMによる高速加工プログラムとデジタルデバッグ機能を組み合わせて、熟練技術者のノウハウをデータ化。加工技術の継承を支援し、作業効率と従業員の満足度を高める。
加工時間の削減に加え、専用の工程管理ソフトウェアにより品番や加工プログラム、加工スケジュールを管理できる。これにより、短納期への対応やリードタイムの短縮が可能になる。
切りくずが招くトラブルは、切りくず排出を最適化したセンタートラフ構造と高効率チップコンベヤーによって回避する。夜間や休日を含む長時間の無人運転が可能になり、設備の稼働率を高められる。
X10は立形5軸制御構造で、機械寸法は3300×6000×2860mm。ストロークはX軸が660mm、Y軸が500mm、Z軸が400mmだ。最大ワークサイズは200×200×200mm、主軸回転数は最大1万2000min−1となっている。
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