イチから全部作ってみよう(25)脳内シミュレーションを駆使し画面設計書を完成させる:山浦恒央の“くみこみ”な話(194)(3/3 ページ)
ソフトウェア開発の全工程を学ぶ新シリーズ「イチから全部作ってみよう」。第25回は、前回作成したECサイトのトップページに続き、カート画面、顧客情報&支払情報入力画面、購入確認画面、購入完了画面画面設計書の画面設計書を作成する。
3.4 購入完了画面
3.4.1 画面情報
- 画面名:購入完了画面
- 概要:購入が正常に終了したことを表示する
3.4.2 遷移元/遷移先
- 遷移元:購入確認画面
- 遷移先:トップページボタンをクリックすると、トップページへ遷移する
3.4.3 画面レイアウト
画面レイアウトを図4に示す。
3.4.4 表示項目
表示項目を表4に示す。
項目名 | 種別 | 入力範囲 | エラー処理 |
---|---|---|---|
トップページボタン | ボタン | - | - |
表4 購入完了画面の表示項目 |
3.5 全体の画面遷移
全体の画面遷移図を図5に示します。なお、遷移は正常系のみにしています。
4.おわりに
今回は、画面設計書の続きを作成しました。細かい話は割り切って作ったつもりですが、一通り作ってみると、改善の余地が見えてきます。
- (1)カート画面で数量を変更できないのか。合計金額は表示しないのか
- (2)ブラウザバックをした場合はどうするのか
- (3)支払方法は、代引きとクレジットだけで良いのか
- (4)配送日は設定できないのか
- (5)購入確認画面で、何日間も無入力の場合、どうするか。タイムアウトさせるのか
など、いろいろ考えられますね。このように、画面設計書を作成し、画面を紙芝居のように脳内シミュレーションすると、さまざまな課題が見つかるでしょう。これらを発注側へ共有し、すり合わせをしながら設計をすると、開発側も運用方法をイメージしつつ、発注側の要望を盛り込めます。(次回に続く)
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人間環境大学 環境情報学科 教授(工学博士)
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