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イチから全部作ってみよう(24)設計フェーズの入り口「画面設計書」は紙芝居!?山浦恒央の“くみこみ”な話(193)(1/3 ページ)

ソフトウェア開発の全工程を学ぶ新シリーズ「イチから全部作ってみよう」。第24回からは設計フェーズに入る。基本設計書と詳細設計書の例を示した後、ECサイトを事例にして設計フェーズの入り口に当たる「画面設計書」を作成する手順を紹介する。

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1.はじめに

 山浦恒央の“くみこみ”な話の連載第170回から、入門者をターゲットとして、「イチから全部作ってみよう」というシリーズを始めました。このシリーズでは、多岐にわたるソフトウェア開発の最初から最後まで、すなわち、要求仕様の定義、設計書の作成、コーディング、デバッグ、テスト、保守までの「開発フェーズ」の全プロセスを具体的に理解、経験することを目的にしています。

 興味がある方は、連載第170回からのバックナンバーをご覧ください。

 ここまでシリーズの過去23回で、ヒアリングから要求仕様書のレビューまでの一連の流れを説明しました。今回からは、いよいよ設計フェーズに進みます。

⇒連載「山浦恒央の“くみこみ”な話」バックナンバー

2.設計フェーズに入ろう

 設計フェーズでは、要求仕様書をより具体化し、「これがあればプログラムが作れる」という状態にすることが目標です。具体的なアウトプットとしては、「基本設計書」と「詳細設計書」を作成します。

2.1 基本設計書とは

 基本設計書とは、ユーザーや発注側の視点から、開発するソフトウェアの外部の振る舞いを定義した文書です。これは、中身の具体的な作り方は分からないけれど(中身の具体的な構成や作りは、後の工程で決めます)、何をしたいかが分かる文書に当たります(従って、データの大きさや使い方、データの処理方式やアルゴリズム、ハードウェアで対応するかソフトウェア側が処理するかなどは決めません)。

 具体的には、「処理の流れ」「画面のレイアウト」「必要なデータ項目(ユーザーや使用者に見えるものだけ)」を明確にします(図1)。ユーザーや発注者のように、ソフトウェアの知識がない人にも理解できるドキュメントですね。

図1
図1 基本設計書の成果物の例[クリックで拡大]

 図1は、基本設計書で記述するドキュメントの例です。業務フローや画面のレイアウトなど定義することが分かりますね。ただし、この段階では、どのように作るか(プログラミングする)を気にする必要はありません(分かった上で書く方がもちろんいいのですが)。

2.2 詳細設計書とは

 詳細設計書とは、基本設計書で定義した内容を、プログラムとしてどのように実現するか定義します。これは、何をしたいかが明確になった上で、「どう作るか」をまとめた文書で、ソフトウェア開発技術者が作ります。具体的には、処理の分担、データ構造、モジュールの呼び出し関係などを開発者が実装できるところまで記載します。

 図2は、詳細設計書の成果物の例です。クラス図、モジュール構造図、データベースの構成を定義します(各ドキュメントの意味や詳細は、あらためて解説します)。ただし、詳細設計書は開発者向けのドキュメントなので、発注側の担当者では理解が難しい場合があります。その場合は、レビューで補足説明を行うとよいでしょう。

図2
図2 詳細設計書の成果物の例[クリックで拡大]

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