米国、中国から見た貿易相手国「日本」 存在感は著しく低下:小川製作所のスキマ時間にながめる経済データ(40)(1/3 ページ)
ビジネスを進める上で、日本経済の立ち位置を知ることはとても大切です。本連載では「スキマ時間に読める経済データ」をテーマに、役立つ情報を皆さんと共有していきます。今回は日本、米国、中国の貿易の関係性の変化について解説します。
前回は日本の貿易の変化や国際的な立ち位置の変化について解説しました。日本の立ち位置は、物価や為替の影響により、輸出が強かった時代から、円高により現地生産化が進んだ時期を経て、今再び円安とともに輸出を増やしていける環境に変化してきたことを示しました。
今回は、この貿易による関係性を掘り下げ、特に関わりが深い米国と中国との貿易関係がどのように変化しているのかを解説します。今回のデータの出典元は「OECD Data Explorer, Bilateral Trade in goods by end-use」です。
⇒連載「小川製作所のスキマ時間にながめる経済データ」のバックナンバーはこちら
日本の相手国別輸出入
最近は、米国トランプ関税による影響が製造業では大きな話題となっていますが、そもそも、関税がかかる各国との輸出入の関係性は現在どのような状況なのでしょうか。
企業活動のグローバル化は、貿易(輸出、輸入)や海外活動(対外直接投資、対内直接投資)の拡大として観測されます。日本の貿易は拡大していますが、その拡大幅は緩やかで、貿易における国際的な存在感は低下しつつあることは前回記事で紹介しました。
今回は日本の相手国別の貿易額について可視化します。日本にとって重要な米国、中国についても同様に紹介しますので、日、米、中のそれぞれの変化を把握できます。これからの事業を考える上でも、いろいろなヒントが見つかるかもしれませんね。
まずは、日本の相手国別輸出額、輸入額の変化を可視化してみます。図1は日本の相手国別輸出額(図1-1)と輸入額(図1-2)について、1994年(左側)と2024年(右側)で示したものです。対象は財(モノ)のみになっています。通貨単位は米ドルですが、以下はドルで示します。
日本の輸出額を見ると1994年は3977億ドル(約59.9兆円)、2024年は7074億ドル(約106.7兆円)と2倍近くに拡大しています。
輸出の最大相手国は米国で変わっていませんが、1193億ドル(約17.9兆円)から1415億ドル(約21.3兆円)へと拡大しているものの、それほど大きな拡大幅ではありません。
一方で中国への輸出は188億ドル(約2.8兆円)から、1246億ドル(約18.8兆円)へと大きく拡大し、シェアも18%となっています。この30年で米国に次ぐ輸出相手国へと存在感を強めています。輸入金額では、276億ドル(約4.2兆円)から、2024年には1671億ドル(25.2兆円)となり、全体の23%を占める最大相手国となっています。
日本は米国とアジア圏での貿易が主となっていますが、特に中国との輸出入の拡大が大きいことが分かります。また、1990年代は輸出の方が多かったものの、2024年は輸入の方が多くなっているのも特徴的です。
輸入では、サウジアラビアやアラブ首長国連邦、オーストラリアなど資源国が上位に位置しているのも日本の特徴的なところだといえます。資源を輸入して、製品を輸出するという加工貿易の形が今なお重要であることが分かります。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.