製造業の方々が集まって「日本が弱くなった理由」についての話をすると、毎回出てくる要素の1つに「働き方」があります。いわゆる“モーレツ社員”が評価をされ、早朝から深夜まで働き詰めで、休みの日も仕事に投げ打って、会社の発展に尽くしてきた時代に比べ、働き方改革が進み、労働時間も大幅に減り、そこに込める熱量も下がる中で「世界に競争で勝てなくなるのは当たり前だ」という話です。
同様に研究開発やイノベーションでは「“闇研(やみけん)”が許されなくなったことが力を弱めた」という声も聞こえてきます。闇研は非公式の研究開発を業務時間外に自発的に行うものです。企業の方向性などと異なる研究開発をめどが立つまで独自で進められたため、日本のかつての革新的製品の多くは、この闇研から生み出されたものでした。ただ、先述した働き方改革の流れの中、サービス残業につながりがちである点や、企業のガバナンスの問題などから、“闇”から“明かり”のもとへと引きずり出す動きが進み、あまり活発には行われなくなりました。
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