設計から製造までのエンジニアリングチェーン情報を一元管理できる基盤を支援:製造ITニュース
SCSKは、製造業のエンジニアリングチェーンマネジメントを支援する新サービス「SuccessChain for ECM」の提供を開始した。設計から製造までの技術情報を一元管理できる基盤の導入、運用を支援する。
SCSKは2025年9月19日、製造業のエンジニアリングチェーンマネジメント(ECM)を支援する新サービス「SuccessChain for ECM」の提供を開始した。
SuccessChain for ECMは、設計から製造までの技術情報を一元管理できる基盤を導入し、工程ごとのテンプレートや運用支援を提供する。また、AI(人工知能)とデジタルツインを活用して、設計最適化や不具合の予測、シミュレーションによる品質向上、納期短縮、コスト削減を支援する。
SuccessChain for ECMは4つのサービスで構成されている。「アセスメント/PoC(概念実証)サービス 」では、ECMの課題を診断後、優先度と解決に向けた施策を明らかにする。また、それらの課題を新エネルギー・産業技術総合開発機構の「スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン」を基に、系統立てて整理する。
「エンジニアリング基盤(MDE:ものづくりデータエンジニアリングサービス)」では、ArasのPLMプラットフォーム「Aras Innovator」を用いて、設計図やCAE解析データ、部品構成、製造工程を一元管理し、開発効率化を図る。CAEの解析業務はワークフロー化し、誰もがWebでエンジニアリング計算機を利用できる仕組みにした。
「コンテンツサービス」では、SCSKの「ナレッジDB」を活用して迅速にPLMを導入し、CAE、CADとの連携、AI活用、開発への応用と段階的に拡張していく。標準の導入支援のほか、顧客のニーズに合わせたカスタマイズにも対応する。
導入後は「定着化支援サービス」で改善状況を監視し、追加機能の開発や人材育成などを通じて業務改善が継続するよう支援する。
SuccessChain for ECMの提供の背景には、製造業における技術継承の難しさや人材不足、国際競争の激化などがある。同社は、設計変更が現場に反映されない、CAEの解析結果が属人的で再利用しにくいといった現場の声を受け、課題解決を支援するサービスを開始した。2030年3月までに50社への導入を目標としている。
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