新型リーフの走行可能距離は702km、EVを買わない理由に向き合う:電動化(1/2 ページ)
日産自動車はEV「リーフ」の新モデルの注文を2025年10月17日から受け付けると発表した。2026年1月から順次納車する。今回受注を受け付けるのはバッテリー容量が大きいグレード「B7」だ。
日産自動車は2025年10月8日、EV(電気自動車)「リーフ」の新モデルの注文を同月17日から受け付けると発表した。2026年1月から順次納車する。新型リーフのフルモデルチェンジの概要は2025年6月に発表した。今回受注を受け付けるのはバッテリー容量が大きいグレード「B7」だ。
2025年6月時点では1回の充電での走行可能距離についておおまかにしか明かしていなかった。今回、日本仕様の新型リーフの走行可能距離がWLTCモードで702kmとなることを発表した(ベースグレードとなるB7の「X」でプロパイロット非装着の場合)。
新型リーフの消費税込み価格はB7 Xが518万8700円、装備が充実したB7 Gが599万9400円。B7 Xは先代モデルの同等グレード(e+ X、消費税込み525万3600円)よりも安く抑えた。バッテリー容量が少ないグレード「B5」は2026年2月の発表を予定しており、CEV補助金を利用した実質負担額を400万円以下に抑えていく。CEV補助金は現在申請中で、2025年10月下旬に確定する見通しだ。
新型リーフは、日産のEVのフラグシップ「アリア」と共通のプラットフォームを採用した相乗効果や、栃木工場でアリアと同じ生産ラインを利用することなどでコストを抑えた。
充電時間も短縮
新型リーフは、これまでのリーフのオーナーに評価されてきた運転のしやすさや静粛性を進化させながら、「EVを検討したが購入しなかった」という層の声を改善、克服することを目指した。
EVの購入に至らない理由として多く挙がるのは充電インフラや走行可能距離への不安の他、充電時間の長さなどがある。これらを解決してエンジン車とEVの壁を取り払い、多くの普通のユーザーが違和感なくEVを受け入れられる性能をターゲットにした。
その象徴となるのが、走行可能距離702kmの達成だ。急速充電で10%から80%まで充電する所要時間も、バッテリー容量を増やしながら150kWの充電器であれば35分、90kWの充電器では45分に短縮した。先代モデルの60kWhモデルの場合、90kWでも150kWでも急速充電に50分かかっていた。また、15分間の急速充電でも先代モデルに比べて130%多く走行可能距離を回復できるという。低温環境では、バッテリーの事前暖機機能によって充電量を標準温度相当まで引き上げる。
カーナビゲーションシステムのGoogleマップで目的地を設定すれば、移動中のバッテリー残量や充電スポットの立地などを加味してルートを案内する。充電が必要になってからスマートフォンなどで充電スポットを検索する煩わしさを解消するとしている。
ルート案内では、下り坂がどの程度あるか、市街地か高速道路かなど走行の負荷を考慮する。負荷に合わせてバッテリーの冷却を調整して電力消費を最小化する他、充電前後のバッテリー温度もルートに合わせて制御する。バッテリーを必要以上に暖めない/冷やさないことで充電性能を最大化しながら電力消費を抑える。バッテリー残量の予測には、日産が持つプローブデータや車両のパラメータに、Googleが持つそのルートにおける車速の過去データを組み合わせることで精度を高めた。
日産のEVのフラグシップであるアリアから熱マネジメントシステムを進化させた。これまでは外気に放出していた駆動用モーターや車載充電器、ラジエーターの熱も回収できるよう、エアコンやバッテリー、パワートレインを統合的に熱マネジメントする。
さらに、ECU(電子制御ユニット)の消費電力低減の他、遮熱性の高いガラスルーフで乗員が感じる温度を下げて快適性を高めるなど“落ち穂拾い”を積み重ねて電費のムダをなくした。
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