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東洋紡エムシーが中空糸型RO膜の生産能力を3倍に増強、中東地域の需要に対応:工場ニュース
微生物による目詰まりが課題となる中東地域の海水淡水化市場。その課題を解決する製品として、東洋紡エムシーは中空糸型RO膜「ホロセップ」を展開している。同社は岩国環境・ファイバー工場に約10億円を投じ、その生産設備を増強する。
東洋紡エムシーは2025年10月3日、岩国サイト(山口県岩国市)の岩国環境・ファイバー工場に、新たに中空糸型RO膜「ホロセップ」の製造設備を増設することを決定したと発表した。
今回の設備投資では紡糸工程の増設や組み立て工程への自動化機器導入などを行う。これらにより、同工場におけるホロセップの生産能力は現行と比べて3倍となる他、製塩/リチウム回収向け中空糸型ブラインコンセントレーション(BC)膜のホロセップの生産設備も増強し、生産能力を2倍に増加させる。総投資額は約10億円で、新設備は2026年夏頃に稼働する予定だ。
中東地域の海水に対応する中空糸型RO膜
中空糸型RO膜のホロセップは、主に中東地域の海水淡水化プラントで採用されてきた。中東地域の海水は高水温かつ閉鎖海域のため微生物が発生しやすく、その結果、RO膜に目詰まりが発生しやすいという課題がある。
この課題の解決策となる中空糸型RO膜にホロセップは、三酢酸セルロース(CTA)製で耐塩素性があるため運転中の塩素殺菌が可能だ。また、膜の表面積も大きいため、微生物の増殖や目詰まりを抑制できる。中東/北アフリカ地域の海水淡水化市場は引き続き拡大すると見込まれており、東洋紡エムシーは生産/供給体制を強化することで、現地の高い需要に応える。
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