モビリティサービスを体験しながら開発できるシミュレーション環境:車載ソフトウェア
名古屋大学が主導する産学共創プロジェクト「Open SDV Initiative」は、SDVによるモビリティサービスを体験しながら開発できるシミュレーション環境「MESH」を提案した。
名古屋大学は2025年9月25日、同大学が主導する産学共創プロジェクト「Open SDV Initiative」は、SDV(ソフトウェアデファインドビークル)による多様なモビリティサービスを体験しながら開発できるシミュレーション環境「MESH(Mobility Experience Simulation Hub)」を提案すると発表した。日本最大級の組み込み/エッジ技術の展示会「EdgeTech+ 2025」(2025年11月19〜21日、パシフィコ横浜)のTOPPERSパビリオン内で初めて実機を展示する。
MESHは、モビリティサービスを体験する環境と、公開APIを利用してアプリケーションを開発する環境を一体化したシミュレーターだ。システム全体を「網」として表現し、ネットワークでつながる各デバイスやシステムを、MESH STB(Set Top Box)上のアプリケーションソフトがAPIを通じて制御する構成となる。これにより、自動車業界以外の企業も含め、幅広い事業者がサービス開発を行える。
展示会では、MESHの価値を体感できる基本シナリオのほか、AD(自動運転)、ADAS(先進運転支援システム)関連APIを用いた安全運転診断や個人向け保険提案、DMS(ドライバーモニタリングシステム)やAI(人工知能)アシスタントと連携した新しいHMIなどを体験できる。
こうしたシナリオは、参加企業のアイデアと名古屋大学などのソフトウェア工学的知見を組み合わせ、最適なAPI設計を通じて生まれたものだ。
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