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ヒョンデのSDVを支えるソフトウェア企業、新機能を数週間で投入可能車載ソフトウェア(1/2 ページ)

Sonatusはコネクテッドカーの課題解決のため、2018年にヒョンデが設立した企業だ。車両へのエッジAIの搭載や、AIを活用して収集したデータを生かしたSDVの実現を支援する。

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 Sonatus(ソナタス)は2025年9月16日、東京都内で説明会を開いた。同社はコネクテッドカーの課題解決のため、2018年にヒョンデ(Hyundai Motor)が設立した企業だ。車両へのエッジAI(人工知能)の搭載や、AIを活用して収集したデータを生かしたSDV(ソフトウェアデファインドビークル)の実現を支援する。

 ソナタスはヒョンデグループのジェネシスブランド向けにビジネスをスタートし、現在はヒョンデブランドの全モデルにソナタスのプラットフォームが搭載されている。起亜ブランド向けにも搭載しており、500万台での採用実績がある。

 ソナタス 上級副社長兼テクニカルフェローのアレクサンドル・コルジョン氏は「ヒョンデグループはユーザーの需要に適応して、市場の変化に合わせて新型車を投入したり、モデルチェンジを実施したりしてきた。ソナタスはクルマがマーケットに出た後にどのようなことが起こっているのか、フレキシブルなデータ収集に貢献している。それが速やかな新型車開発につながっている。ユーザー向けの新しい機能を数週間で提供することもできる」とコメントした。

 ソナタスの本社は米国カリフォルニアだ。グローバルに事業を展開しており、日本や中国、台湾にも拠点を構える。フォックスコン、LGエレクトロニクス、マーベル、NEC、上海汽車集団などさまざまな企業から投資を受けている。

 SDVにはデータセンターと似た環境が必要になる。データセンターは非常に多くのコンピュータやアプリケーションが相互に接続するが、従来の車載ネットワークはポイントツーポイントのCANが主で、多数のシステムやアプリケーションを相互に接続するのは困難だった。イーサネットを使って複数のECUが相互に通信できるようになり、ソフトウェア開発者がより興味深い機能を開発することが可能になったことを踏まえて、SDVへの移行を加速させていく。


ソナタスとは[クリックで拡大] 出所:ソナタス

データの収集、分析、アクションまでをカバー

 ソナタスは車両のネットワークの基礎を作ることからスタートし、スマートでフレキシブルなデータ収集を可能にするミドルウェアのアプリケーションを開発してきた。ソフトウェアは全て車載で、クラウド上には集めたデータとポリシー管理の機能のみを置く。ポリシーは、データ収集を始めるトリガーイベントの他、収集するデータや車両からクラウドにどのようにデータを転送するかといったパラメータを定義する。エッジ側にAIを置くことでデータを外に出さずに処理を実行できるため、通信の接続性やプライバシーの課題も解決できるとしている。


ソナタスのプラットフォームとソリューション[クリックで拡大] 出所:ソナタス

 ソナタスが手掛ける製品の1つが、AI駆動でワークフローや車載機能を自動化する「Automator AI」だ。また、2025年9月に発表したばかりなのが「AI Director」で、エッジAIの搭載を可能にする。「Collector AI」が車両のデータをスキャンし、AI Directorが分析、Automator AIがアクションを取るというポートフォリオだ。

 さらに、「AI Technician」は、車両ごとに最適化されたAI診断で、不具合の特定を迅速かつスマートに行う。ドライバーはスマートフォン向けのアプリを通じて車両の状態を診断するクエリを実行でき、自動車メーカーが推奨する修理やメンテナンスの内容を確認できる。OTA(無線ネットワークによるアップデート、Over-The-Air)向けの「Updater」も用意している。

 このようなソリューションで車両のソフトウェアを柔軟に修正し、車両における価値が変わっていく中でも新しいユースケースが生まれるようにするという。

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