MI活用で製品開発の実験回数や時間を50%以上削減、製品の開発業務を効率化:マテリアルズインフォマティクス
日立ハイテクのMIを活用した「材料開発ソリューション」により、NOFメタルコーティングスが製品の研究、開発業務の効率化と高度化を達成した。特定の研究テーマで、MI活用前と比べて実験回数や期間を50%以上削減できた。
日立ハイテクは2025年8月19日、MI(マテリアルズインフォマティクス)を活用し、NOFメタルコーティングスにおける製品の研究、開発業務の効率化と高度化を達成したと発表した。MIの活用で、実験回数や期間を50%以上削減できた。
NOFメタルコーティングスは、金属の耐久性や機能性の向上に使用する高機能薄膜コーティング技術を有する。これまで熟練技術者の経験を基に研究、開発業務を進めてきたが、データドリブンな開発で迅速に研究、開発を実施したいと考えていた。
こうした課題に対応するため、日立ハイテクはMIを活用した「材料開発ソリューション」を提供。同ソリューションのコアとなるMIは、過去の実験データを基に物性を予測し、製造条件や素材配合比の最適解を提示する。
両社は対話を重ねて現状や課題を把握し、解決を図るMIの活用やデータ分析のサポートを継続的に行った。NOFメタルコーティングスの長年の開発テーマとなる防錆材料などに対し、MI技術を用いて、過去の検討データから目標特性への到達を期待できる実験候補を解析した。
その結果、特定の研究テーマで、MI活用前と比べて実験回数や期間を50%以上削減できた。さらに、従来手法では困難だった未知の発見につなげたことで、データドリブンな開発の有効性を実証した。
また、データサイエンティストなど、日立ハイテクのカスタマーサクセスがMI活用をサポート。NOFメタルコーティングスでは、社内にMIデータ分析の専門人材がいなくても、スムーズなMI活用を推進できた。
両社は今後も連携を継続し、NOFメタルコーティングスの海外拠点でも活用を検討する。また、日立ハイテクの解析装置から出力したデータとMIの連携、日立グループのアセットなどの活用により、さらなる自動化と効率化、高度化を図るとしている。
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