長い通路を抜けると、そこはFCNTの地下実験室だった:イノベーションのレシピ(4/5 ページ)
FCNTは、新型スマートフォン「arrows Alpha」の販売開始に合わせ、報道陣向けに「中央林間 地下実験室ツアー」を開催。ジャパンクオリティーを支えるさまざまな評価試験の現場を初公開した。
“洗えるスマホ”の実現を支える人力での徹底評価
温湿度試験装置などが並ぶエリアを過ぎると、手洗い場がある。これはFCNTのエンジニアたちが手を洗うためのものではなく、“洗えるスマホ”としての性能を評価する場所だ。
泡タイプのハンドソープや液体タイプの食器用洗剤(いずれも日本製)を用いて、スマートフォンの6面を1100回も手作業で洗い、洗浄耐久性能などを評価しているという。自動化が難しく、どうしても人の手で行う必要があるとのことだ。試作品が上がってくるたびにこの試験を実施するため、1つの製品を作り上げるまでに膨大な回数の手洗いが発生していることが想像できる。
無線性能試験
次に見学したのは、無線評価室だ。先ほどまでの試験現場は大きくワンフロア内に収まっていたが、この無線評価室は一度廊下に出て、地下通路を進んだ先に設けられていた。天井は高く、当然ながら窓もない。外部電波を完全に遮断したこの環境が、評価に最適なのだという。
近距離無線通信の評価
ここではまず、近距離無線通信であるFeliCaの評価を確認できた。FeliCa通信の有効距離は15cm程度と定められており、飛び過ぎてはいけない。通信速度は非常に速く、JRの改札やグリーン券リーダー(グリーン車の座席上部にあるリーダー)など実際の装置を用いて、必要な距離でのみ反応するかを検証している。
適切な距離で通信できるかをmm(ミリ)単位で確認し、必要に応じて電子部品を交換しながら検証と評価を行っているという。ツアーでは、実際に使用されているコンデンサーのサイズを確認できた。FeliCaなどの近距離無線通信の評価では、シャープペンシルの芯先よりも小さい電子部品をピンセットでつかんで取り付ける作業が発生するため、非常に骨の折れる作業だという。
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