【レベル3】図面の寸法値を複数回使うべからず!:テルえもんクエストII(3)(3/3 ページ)
設計スキルのレベルアップを目指す設計者の皆さんを“冒険者”に見立て、さまざまな“問(モン)スター”に挑む「テルえもんクエストII」の世界へようこそ。【レベル3】のテーマは、「図面の寸法値を複数回使うべからず!」だ。
問スター(4)を攻略せよ!
それでは、4つのアイテムを駆使して、前回(レベル2)の最後に登場した問スター(4)を攻略していきましょう!
図5に示した2D図面から3Dモデルを作成する際のポイントは、「4×φ5」の記載を読み取り、直径5mmの穴を4つ開けることです。穴の位置は、直径35mmの円周上にあることが確認できます。配置角度の記載はありませんが、中心線が描かれており、4等分で配置されていることが分かります。
このように角度の明記がなく、見た目で等分と判断できる場合には、暗黙的に均等配置と解釈します。こうした図面は、実務や資格試験でもよく見られますので、ぜひこの機会に覚えておきましょう。
また、形状の厚みに関して、今回は側面図に寸法が記載されていますが、板物の場合は側面図を省略し、記号「t」を付けて厚みを表すことがあります。例えば、厚みが2mmの場合には「t2」とだけ記載されるケースもあります。「t」は「てぃー」と読み、英語で厚みを意味する「thickness」の略です。この他にも、「t=2」や「2t」といった表記が使われることもあります。
さらに覚えておいてほしいのは、JIS規格では、図面上で穴が円形であることが明らかな場合、「φ」の記号を省略してもよいとされている点です。そのため、「φ」の記載がなくても、形状から明らかに円と判断できる場合は、3Dモデルも円形になるように作成してください。
それでは、まずは自力で問スター(4)にチャレンジしてみてください!
どうしても倒せない(分からない)場合や、倒し方の手順を知りたいという方は、テルえもん直伝の攻略法動画を参考にしてみてください(動画1)。
いかがでしたでしょうか? 今回は、2D図面で指示されている寸法値を複数回使わず、1回のみの使用で3Dモデルを作成することの大切さと、それを実現するためのアイテム(基礎知識)を紹介しました。
問スター(5)があらわれた!
おや? 一段落ついたところで、新たな問スターが登場です! どうやら、今回は少し手ごわい相手のようですね……(図6)。
問スター(5)の倒し方の手順と、テルえもん直伝の攻略法動画は次回お届けします!! それでは、次回のクエストでまたお会いしましょう! (レベル4へ続く)
筆者プロフィール
小原照記(おばら てるき)
いわてデジタルエンジニア育成センターのセンター長、3次元設計能力検定協会の理事長も務める。3D CADを中心とした講習会を小学生から大人まで幅広い世代の人に行い、3Dデータを活用できる人材を増やす活動をしている。また企業の困り事に対し、デジタルツールを使って支援している。人は宝、財産であると考え、時代に対応する、即戦力になれる人財、また、時代を創るプロフェッショナルな人財の育成を目指している。優秀な人財がいるところには、仕事が集まり、人が集まって、より魅力ある街になっていくと考えて地方でもできること、地方だからできることを考えて日々活動している。
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