連載
円管内の熱伝達を解析する:CAE解析とExcelを使いながら冷却系設計を自分でやってみる(14)(2/4 ページ)
CAE解析とExcelを使いながら冷却系の設計を“自分でやってみる/できるようになる”ことを目指す連載。連載第14回からはいよいよ「熱流体解析」に突入し、円管層流熱伝、円管乱流熱伝達と進んでいく。
円管層流熱伝達
ここでの目標は、式4に登場する熱伝達率hを求めることです。そのために、ヌセルト数Nuが登場します。ヌセルト数は式8で定義されます。
円管層流の場合のヌセルト数は、表1のようになります。
壁温が流れ方向にも断面内周方向にも一定 | Nu=3.66 | |
熱流束が流れ方向にも断面内周方向にも一定 | Nu=4.36 | |
表1 円管層流の場合のヌセルト数(参考文献[1]) |
熱伝達率は、式9で求めることができます。
ここで、「混合平均温度」について説明します。これは、式10で求められ、温められた流体の平均温度を意味します。
熱伝達率を計算する際に使う流体の物性値は、混合平均温度に対応する値を用います。主流の温度と壁温に大きな差がある場合は、混合平均温度での物性値と壁面温度での物性値の両方を考慮して計算する必要があります。ただし、ここで用いる経験式は、限定された適用範囲でしか使えません。
水や空気の動粘性係数は、温度の変化によって大きく変わります。ということは、レイノルズ数も大きく変化するということです。後で説明する乱流の場合、ヌセルト数はレイノルズ数の関数となるため、熱伝達率の見積もりは温度変化に対して非常に敏感になります。
円管の場合、壁温の計算式は式11となります。パイプなどの内部流れでは、主流の温度の代わりに混合平均温度を用います。
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