手戻り大幅削減 材料開発期間を短縮するレゾナックパワーモジュールR&D拠点の共創:研究開発の最前線(1/2 ページ)
レゾナックは、小山事業所(栃木県小山市)内のパワーモジュール研究開発拠点「パワーモジュールインテグレーションセンター(PMiC)」で同拠点の説明会と見学会を行った。
レゾナックは2025年7月30日、小山事業所(栃木県小山市)内のパワーモジュール研究開発拠点「パワーモジュールインテグレーションセンター(PMiC)」で同拠点の説明会と見学会を行った。
顧客と共同で評価し、採用が確定したら量産化
同社は、昭和電工と昭和電工マテリアルズ(旧日立化成)の事業を統合した機能性化学メーカーで、材料開発では、昭和電工の「作る(分子設計)」技術と日立化成の「混ぜる(機能設計)」技術を組み合わせて、フィラーや複合材などの開発を加速している。
装置、材料、基板のメーカーとともに先端半導体パッケージの材料、実装、評価の技術を開発する「パッケージングソリューションセンター(神奈川県川崎市)」などで共創型のイノベーション創出も推進。PMiCも共創型のイノベーション創出を進める拠点で、原材料や材料/部材、パワー半導体デバイス、パワーモジュール、インバーター/パワーコントロールユニット、電気自動車(EV)のメーカーと共同で、新たな材料や評価の技術開発を行っている。
PMiCは2021年7月に茨城県つくば市の先端融合研究所内で設立された。2023年1月に小山事業所内で本格始動し、2024年には、パワーモジュールの組み立てや評価の設備導入を進め、研究開発体制を整えた。2025年には顧客を招いての共創を開始した。
レゾナック CTO 先端融合研究所 PMiC センター長の畠山恵一氏は「パワーモジュール向け材料の開発プロセスではこれまで、開発した素材を顧客が評価するまでに時間がかかっていた。PMiCでは、こういった問題を解決する材料開発フローを採用している」と話す。
PMiCの材料開発フローは、まず多様なタイプのパワーモジュールを試作し、研究開発した材料を実装する。次に、通電し実使用に則した状態で測定し、性能の評価と検証を実施。続いて、シミュレーションで評価結果の検証と実験前の予測を行う。その後、対象のモジュールに合わせて材料を最適化する。
畠山氏は「PMiC設立以前のパワーモジュール向け材料の開発では、研究開発した素材/部材を自社で評価してから顧客に提案していた。その後、顧客の評価を経て、採用が決まった場合は量産化することになるが、もし顧客の評価が悪い場合には、再び研究開発と評価をやり直すという手戻りが発生していた。PMiCの材料開発フローでは、研究開発した素材/部材を、共創パートナーの顧客が求める条件で評価する。続いて、顧客と共同で評価し、採用が確定したら量産化を行う。そのため、従来と比べて手戻りを削減できる」と語った。
このフローは、顧客の検証工程を通した材料の最適化により、持続的に新製品を創出できる他、将来技術の先読みと先行開発で新技術のデファクトスタンダード化に貢献するという。
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