世界的に労働者の「ウェルビーイング」や「仕事の満足度」が上昇:キャリアニュース
マンパワーグループが、世界19カ国の労働者を対象にした調査「グローバル・タレント・バロメーター」の結果を発表した。日本を含め「ウェルビーイング」「仕事の満足度」の指数が上昇傾向にあることが分かった。
総合人材サービスのマンパワーグループは2025年6月24日、意識調査「グローバル・タレント・バロメーター」の結果を発表した。
同調査は世界19カ国の労働者を対象とし、1万3771人から有効回答を得た(日本は502人)。
グローバル・タレント・バロメーターは、世界の労働者の「ウェルビーイング」「仕事の満足度」「自信」を測定する指標だ。これら3つのテーマに測定項目が4つずつあり、その回答割合の平均値を指数としている。
「ウェルビーイング」(測定項目:意義と目的、日常的な軽度のストレス、価値観の一致、ワークライフバランス)」を見ると、グローバルの指数は2024年の前回調査の+3となる67%、日本は同+1となる43%だった。日本の結果は、「ストレスをほとんど、あるいは全く感じない(前回調査+1)」「会社のビジョンや価値観にある程度、または強く共感している(同+2)」「ワークライフバランスに関して、十分な、あるいは万全のサポートを受けていると感じている(同+1)」の3項目で、回答割合が増えている。
「仕事の満足度指数(測定項目:現在の仕事に対する満足度、雇用の安定性、転職活動に対する自信、上司への信頼感)」は、グローバルが前回調査+1の62%、日本が同+3となる52%だった。
日本の結果を見ると、「自分の仕事に満足しており、今後6カ月の間に自分の意志で退職する可能性は低い(前回調査+3)」「自分の雇用は、今後6カ月間は保障されていると感じている(同+1)」「今後6カ月以内に別の仕事を見つけられることに、中程度から高いレベルの自信を持っている(同+3)」「上司が自分のキャリア開発に最善を尽くしていると感じており、上司を中程度から高いレベルで信頼している(同+7)」の4項目全てで回答割合が2024年比を上回った。
スキルや経験への自信は増えたが、最新のテクノロジーへの自信が減少
「自信度指数(測定項目:キャリア開発、キャリア成長の機会、経験とスキル、最新のテクノロジー)」は、グローバルが前回調査+2となる76%、日本は同±0の46%だった。日本の結果を見ると、「組織の中で自分のキャリア目標を達成するためのスキルや経験を得る機会がある(前回調査+2)」「職務を遂行するためのスキルと経験について、中程度から高いレベルの自信がある(同+2)」の2項目で2024年よりも回答割合が増えた。
2024年比で回答割合が減少したのは、「組織の中で昇進や異動の機会がある(同−2)」と「自業種で職務を遂行するために必要な最新のテクノロジーがほぼまたは完全にそろっており、使いこなす自信がある(同−1)」の2項目だった。
マンパワーグループプレジデントでCSOのBecky Frankiewicz氏は、AI(人工知能)の進化により、企業が変革を求められる中、変革の中心は「テクノロジー」ではなく「人」にあると語った。また今回の調査結果について、従業員が職場に求めるものは、より高い柔軟性やより深い人間らしさ、成長の機会など「単に仕事をする」こと以上のものであるとコメントしている。
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