日本は格差是正の再分配が不十分? ジニ係数の国際比較で見る所得格差:小川製作所のスキマ時間にながめる経済データ(36)(3/4 ページ)
ビジネスを進める上で、日本経済の立ち位置を知ることはとても大切です。本連載では「スキマ時間に読める経済データ」をテーマに、役立つ情報を皆さんと共有していきます。今回は家計の所得格差を表す「ジニ係数」の国際比較について紹介します。
可処分所得の格差推移
続いて、再分配後の可処分所得の格差についても見ていきましょう。再分配によって、最終的に手元に残るお金の格差ですので、市場所得よりも重要な指標といえそうです。図4が主要先進国の可処分所得のジニ係数の推移です。
やはり各国で1980年代、1990年代より現在は水準が高くなっており、かつてより再分配後の所得格差が拡大しているといえます。
日本(青)の水準はおおむねイタリアと同程度で、米国や英国より低く、ドイツやフランスより高い水準となっています。
再分配前の市場所得ではドイツやフランスを下回っていますが、可処分所得ではこれら2国よりも所得格差が大きくなっています。主要先進国の中では中程度といえそうです。
可処分所得の格差の国際比較
最新の可処分所得のジニ係数についてももう少し幅広い範囲で国際比較してみましょう。図5が可処分所得のジニ係数についてのOECD加盟各国との国際比較です。
OECDの平均が0.314で、日本は0.331となっています。これはイタリア(0.327)を上回り、10番目に高い水準となります。
米国(0.371)が5番目、英国(0.355)が7番目と先進国では所得格差の大きな国となっています。一方で、フランス(0.301)、ドイツ(0.299)はそれぞれ20番目、21番目とやや低い水準となります。
特にフランスは市場所得では8番目と高い水準だったにもかかわらず、可処分所得ではかなり格差が縮小していることを示しています。この傾向は再分配後に格差の順位が上がる日本と好対照で興味深いですね。フランスは失業率が高い国として知られていますが、それを給付などで補って所得格差としては縮まっていることが分かります。
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