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日本は格差是正の再分配が不十分? ジニ係数の国際比較で見る所得格差小川製作所のスキマ時間にながめる経済データ(36)(2/4 ページ)

ビジネスを進める上で、日本経済の立ち位置を知ることはとても大切です。本連載では「スキマ時間に読める経済データ」をテーマに、役立つ情報を皆さんと共有していきます。今回は家計の所得格差を表す「ジニ係数」の国際比較について紹介します。

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主要先進国の市場所得の格差推移

 次に、市場所得のジニ係数について、主要先進国の時系列推移を見てみましょう。日本は所得格差の小さい国と言われますが、実際に国際比較してみるとどうでしょうか。図2が主要先進国のジニ係数(市場所得)の推移となります。

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図2 市場所得のジニ係数(18〜65歳)[クリックで拡大] 出所:OECD Data Explorerを基に筆者作成

 各国とも1980年代、1990年代と比較するとやや上昇しています。市場所得による所得格差が各国で拡大しているという特徴があるようです。韓国は2010年以降のデータしかありませんが、急激に低下しているのが特徴的です。

 日本の水準は他の主要先進国の中では相対的に低めの水準となっていて、市場所得における所得格差が小さい国という特徴がありそうです。

市場所得の格差の国際比較

 最新の2021年のデータで、市場所得のジニ係数について国際比較してみましょう。図3が2021年のOECD各国のジニ係数(市場所得)を比較したグラフです。

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図3 2021年の市場所得のジニ係数(18〜65歳)の国際比較[クリックで拡大] 出所:OECD Data Explorerを基に筆者作成

 OECDの平均値は0.413ですが、米国が0.470、英国が0.462、フランスが0.444、イタリアが0.442と高く、これらと比較してカナダの0.404、ドイツの0.404が中程度となっています。日本は0.397と、やや低い水準となっています。

 日本の市場所得におけるジニ係数が低い理由としては、相対的に賃金の格差が小さいことと、失業率が低く就業率が高いことが影響していると考えられています。

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